大鵬薬品工業は2022年11月24日、経口抗がん薬TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、商品名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25/ティーエスワン配合顆粒T20・T25/ティーエスワン配合OD錠T20・T25)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。
TS-1がエストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法としてiDFS延長
今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT試験)の結果に基づく。同試験では、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)と経口抗がん薬TS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第III相試験により検証することが目的とされた。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1,959例が登録された。
POTENT試験の結果より、TS-1と内分泌療法の併用は、再発中間リスク以上のエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がん患者に対し、臨床的に意義のある浸潤性疾患のない生存期間(Invasive Disease Free Survival:iDFS)の延長を認めた。また、安全性はこれまでにTS-1で報告されているプロファイルと同様であり、POTENT試験で新たな懸念は確認されなかった。
<TS-1製品概要>
・販売名:
ティーエスワン配合カプセルT20・T25
ティーエスワン配合顆粒T20・T25
ティーエスワン配合OD錠T20・T25
・一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
・効能・効果:
胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌、
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法
・用法・用量:
<ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法>
内分泌療法剤との併用において、通常、成人には次の投与量を朝食後および夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1クールとして最長1年間、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。初回基準量を超える増量は行わないこと。
体表面積1.25m
2未満:40mg/回
*
体表面積1.25m
2以上1.5m
2未満:50mg/回
体表面積1.5m
2以上:60mg/回
*初回基準量(テガフール相当量)
・承認取得日:2022年11月24日
(ケアネット 遊佐 なつみ)