低血糖予防教育に間歇スキャン式持続血糖測定器(intermittently scanned continuous glucose monitoring:isCGM)を用いることで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減されることが、村田 敬氏(京都医療センター臨床栄養科)、坂根 直樹氏(同センター臨床研究センター 予防医学研究室長)らの19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家の共同研究により明らかとなった。詳細はDiabetes Research and Clinical Practice誌に11月13日掲載された。
isCGMは低血糖予防に役立つツールか
低血糖は、1型糖尿病を持つ人の生活の質を悪化させ、労働生産性を損なうだけでなく、最悪の場合、重大な事故や突然死の原因となることはよく知られていた。しかし、血糖自己測定(SMBG)だけでは、低血糖を予防するには十分ではなかった。村田氏は「isCGMではグルコース値を表示するだけでなく、画面で表すトレンド矢印により血糖変動速度を表示することができる。このトレンド矢印をみて早めに対処することで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減したのではないか」と示唆している。
村田氏らのISCHIA研究はインスリンの頻回注射を行っている成人1型糖尿病患者104例を対象に、従来の指先で測る血糖測定器で血糖マネジメントする期間(84日間)とisCGMで血糖マネジメントする期間(84日間)にランダムに割り付けるクロスオーバー試験で行われた。isCGMを使用する患者は、1日10回以上、センサーの表示を確認し、下向きの矢印が出ていて急速に血糖値が低下している状況では、実際に低血糖の症状が出現する前に補食するなどの予防対処をするよう、教育された。
isCGMは低血糖リスクを有意に減少
試験を終了した93例のデータが解析され、主要評価項目である低血糖時間(70mg/dL未満)が従来の指先で測る血糖測定器と比べて1日あたり3.1時間(12.9%)から2.4時間(10.1%)に有意に減少することが立証された。また、低血糖指数(LBGI)が5以上の重症低血糖リスクの割合が23.7%から8.6%に減少することがわかった。
本研究について、坂根氏は「isCGMをどの程度活用できたかには個人差があり、センサーのスキャン回数に及ぼす要因やisCGMの費用対効果について検討する必要がある」と述べている。
(ケアネット 稲川 進)