不眠症治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)の質および推奨事項の評価、エビデンスの要約を通じた適切な薬理学的治療へのアルゴリズム的アプローチに関するガイダンスの提供を目的に、シンガポール・センカン総合病院のSu Yin Seow氏らがシステマティックレビューを実施した。その結果、不眠症に対する薬物治療の適応はすべてのCPGで共通していたが、第1選択薬では違いが認められ、また、ほとんどのCPGで薬物治療後のすべての臨床的考慮事項に関する推奨事項の記載はなかった。Journal of Psychiatric Practice誌2022年11月1日号の報告。
PubMed、EMBASEのデータベース、ガイドライン、リポジトリ、専門家協会のWebサイトより検索を行った。CPGの質の評価には、AGREE-REXにより補完されたガイドライン評価ツールAGREE IIを用いた。不眠症患者に対する薬物治療のアルゴリズム的アプローチを検討する際に臨床医が考慮する重要な臨床上の問題は、学術チームが特定を行った。CPGの推奨事項の特徴を明らかにし、推奨マトリクスを介して要約するため、メタ合成アプローチを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・包含基準を満たしたCPG 10件を評価した。
・全体的な質の評価では、高評価が4件、中程度の評価が3件であった。
・ほとんどのCPGにおいて、不眠症に対する薬物療法は、認知行動療法またはその他の非薬理学的介入が利用できなかった場合、失敗した場合、患者より拒否された場合にのみ推奨されていた。
・薬剤の種類、投与量、治療期間に関する推奨事項は、さまざまかつ非特異的であった。
・CPGの中で、特殊な集団への薬物療法に関する推奨事項を記載しているものは、ほとんどなかった。
(鷹野 敦夫)