ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(HER2+)の転移を有する/局所進行閉経後乳がん患者における1次治療として、トラスツズマブとアロマターゼ阻害薬(AI)に化学療法を併用/併用せずペルツズマブを追加することにより、無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善されたことが第II相PERTAIN試験の主要解析(追跡期間中央値31ヵ月)で示されている。今回、同試験の最終解析結果(追跡期間中央値6年超)を、イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のGrazia Arpino氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2023年1月30日号に報告した。
PERTAIN試験では、258例が下記2群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(導入化学療法は治験責任医師の判断で実施)。
ペルツズマブ群:ペルツズマブ840mg(維持期:420mg)+トラスツズマブ8mg/kg(維持期:6mg/kg)3週間間隔で投与+AI(アナストロゾール1mgまたはレトロゾール2.5mg/日)
対照群:トラスツズマブ+AI
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性。
今回報告された主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値はペルツズマブ群73.2ヵ月vs.対照群71.1ヵ月。
・PFS中央値は、20.6ヵ月vs.15.8ヵ月(層別ハザード比[HR]:0.67、p=0.006)。
・OS中央値は、60.2ヵ月vs.57.2ヵ月(層別HR:1.05、p=0.78)。
・導入化学療法を行わなかった患者において、ペルツズマブによる治療効果が高い傾向がみられた(PFS中央値:26.6ヵ月vs.12.5カ月)。
・全Gradeの有害事象は各群122例で発生し(96.1% vs.98.4%)、Grade3以上の有害事象は72例(56.7%)vs.51例(41.1%)、重篤な有害事象は46例(36.2%)vs.28例(22.6%)で発生した。
著者らは、最終解析においてもペルツズマブ併用によるPFSベネフィットは維持され、OSは両群間で同等であったとし、化学療法の適応がない患者においてペルツズマブ併用により活性が高まる可能性があると結論付けている。安全性に関する新たな懸念は報告されていない。
(ケアネット 遊佐 なつみ)