統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/02/10

 

 ブレクスピプラゾールは、日本において統合失調症治療に広く用いられている非定型抗精神病薬の1つである。これまでの研究では、睡眠変数に対するいくつかの抗精神病薬による治療効果が報告されているが、統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響については、十分に検討されていない。長野・栗田病院の荒井 勇輔氏らは、統合失調症患者を対象に、睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響を検討した。その結果、ブレクスピプラゾールの併用は、統合失調症患者の睡眠構造に変化を及ぼす可能性が示唆されたが、多重比較補正後では有意な差は認められなかった。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年1月6日号の報告。

 対象は、ハロペリドール単剤で治療を行っていた統合失調症患者10例。睡眠変数は、睡眠ポリグラフを用いて測定した。研究の適格基準を満たした7例(男性:5例、女性:2例、平均年齢:59.0±10.0歳)について分析を行った。適格患者に対し、ハロペリドールにブレクスピプラゾールを併用し、4週間後に睡眠ポリグラフを繰り返し実施した。ブレクスピプラゾール併用前後の睡眠構造を比較した。

 ブレクスピプラゾール併用後の睡眠構造の変化は以下のとおりであった。

・REM潜時の延長
・ステージN2およびN3の睡眠持続時間と割合の増加
・REM睡眠ステージの持続時間と割合の減少

(鷹野 敦夫)