ペムブロリズマブ単剤は、PD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、1次治療に用いられている。中国・香港中文大学のT. S. K. Mok氏らは、ペムブロリズマブ単剤の化学療法に対する治療効果を予測するバイオマーカーの探索を行った。その結果、腫瘍組織の遺伝子変異量(tTMB)が1エクソームあたり175個以上(tTMB≧175mut/exome)の集団において、ペムブロリズマブ単剤は化学療法と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善したが、tTMB<175mut/exomeではいずれも改善しなかった。Annals of Oncology誌オンライン版2023年1月25日掲載の報告。
EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発のNSCLC患者を対象に、1次治療としてペムブロリズマブ単剤または化学療法による治療を行ったKEYNOTE-042試験の後ろ向き解析。ペムブロリズマブ単剤による治療効果の予測における、tTMB、STK11、KEAP1、KRAS遺伝子変異の有用性を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者793例中、tTMB≧175mut/exomeが43.5%(345例)、tTMB<175mut/exomeが56.5%(448例)であった。
・PD-L1の発現状況とtTMBには関連が認められなかった。
・tTMBの値は、ペムブロリズマブ単剤群でOS、PFSの改善と関連していた(片側検定のp<0.001、Wald検定)。一方、化学療法群では、関連が認められなかった。
・tTMB≧175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善した(OSのハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.80、PFSのHR:0.75、95%CI:0.59~0.95)。
・一方、tTMB<175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善しなかった(OSのHR:1.09、95%CI:0.88~1.36、PFSのHR:1.27、95%CI:1.04~1.55)。
・STK11、KEAP1、KRAS変異の有無にかかわらず、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSを改善した。
(ケアネット 佐藤 亮)