PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ単剤治療の有効性とTMBに関連/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/08

 

 PD-L1阻害薬単独およびCTLA-4阻害薬との併用において、組織腫瘍変異負荷(tTMB)がバイオマーカーとして活用できる可能性が示唆されている。しかし、高TMBレベルと生存の関係は前向きに検討されていない。米国・イェール大学のRoy S. Herbst氏らは、KEYNOTE-010およびKEYNOTE-042試験のTMB評価可能患者のサブセットにおける、tTMBと臨床アウトカムの関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。

 主な結果は以下のとおり。

・tTMBが評価可能な症例は、KEYNOTE-010では1,034例中254例、KEYNOTE-042では1,275例中793例であった。これらの患者の背景因子、アウトカムはいずれも全体集団と変わらなかった
・tTMBとペムブロリズマブ単剤との効果の関係みると、KEYNOTE-010での全生存期間(OS)のp値は0.006、無増悪生存期間(PFS)は0.001、全奏効率(ORR)が0.009、KEYNOTE-042でのOSのpは<0.001、PFSは<0.001、ORRが<0.001と、tTMBとペムブロリズマブ単剤との効果は相関した。一方、化学療法ではtTMBと効果との相関は見られなかった。
・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ単剤群14.1ヵ月対化学療法群7.6ヵ月(HR:0.56)、一方、175mut未満では9.3ヵ月対7.2ヵ月(HR:0.85)であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ単剤群21.9ヵ月対化学療法群11.6ヵ月(HR:0.62)、一方、175mut未満では12.0ヵ月対12.3ヵ月(HR:1.09)であった。
・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ単剤群4.2ヵ月対化学療法群2.4ヵ月(HR:0.59)、一方、175mut未満では3.7ヵ月対3.4ヵ月(HR:1.09)であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ単剤群6.3ヵ月対化学療法群6.5ヵ月(HR:0.62)一方、175mut未満では4.1ヵ月対6.3ヵ月(HR:1.27)であった。
・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ群23.5%対化学療法群9.8%、175mut未満では16.9%対21.1%であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ群34.4%対化学療法群30.9%、175mut未満では18.8%対22.4%であった。

 この探索的研究では、高tTMBレベルは、PD-L1陽性NSCLCにおける、ペムブロリズマブ単剤治療の臨床結果の改善と相関した。Herbst氏は、この結果から、tTMBはPD-L1陽性進行NSCLCに対するペムブロリズマブ単剤治療に追加の情報を提供する可能性が示唆されると述べた。

(ケアネット 細田 雅之)