新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、小児および青年期の頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛の有病率を調査するため、小学校から高校までの日本人学生を対象に、学校ベースのオンラインアンケートを実施した。また、片頭痛を引き起こすトリガーについて調査するとともに、頭痛頻度に対するCOVID-19パンデミックの影響も併せて検討を行った。その結果、小児および青年期において、頭痛による生活への支障は大きいことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、頭痛の臨床診療におけるアンメットニーズを修正する必要があるとしている。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2023年1月20日号の報告。
2022年4月~8月に、新潟県糸魚川市内の小中高の学生(6~17歳)に対しオンラインアンケートを実施した。片頭痛および薬物乱用頭痛の定義には、国際頭痛分類第3版を用いた。片頭痛を引き起こすトリガーを調査するため、因子分析およびクラスタリングを実施した。頭痛頻度へのCOVID-19パンデミックの影響についての回答も収集した。
主な結果は以下のとおり。
・有効回答数2,489例のうち、頭痛は907例(36.44%)、片頭痛は236例(9.48%)、薬物乱用頭痛は11例(0.44%)で認められた。
・頭痛の回答者の最大70%は日常生活への支障を訴え、約30%は医師に相談していた。
・片頭痛のトリガーは、因子分析により5つの因子にグループ化され、因子に対する片頭痛患者の感受性は、3つのクラスターに分類された。
●クラスター1は、さまざまなトリガーに対し強い感受性を示していた。
●クラスター2は、天気、スマートフォン、ビデオゲームに対し敏感な反応がみられた。
●クラスター3は、トリガーに対する感受性が低かった。
・クラスター2は、片頭痛による支障が非常に大きいにもかかわらず、医師の診察を受けていない傾向が認められた。
・COVID-19パンデミック下では、頭痛の回答者の10.25%で頭痛の発作が増加し、3.97%で減少していた。
(鷹野 敦夫)