完全切除EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの術後補助療法の有効性と安全性を評価する第III相無作為化二重盲検比較試験ADAURAの第2回解析が発表され、オシメルチニブの有効性が持続していることが明らかになった。
ADAURAの初回解析における、術後オシメルチニブ±補助化学療法はプラセボと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある無病生存期間(DFS)の改善を示した。DFSのハザード比(HR)はStage II/IIIAで0.17(p<0.001)、IB/II/IIIAでは0.20(p<0.001)であった。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が、初回解析から2年間を加えた追跡調査でのDFSの更新データと再発パターンの探索的研究の結果を報告した。
・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)のStage IB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者(術後化学療法は許容)
・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療
・対照群:プラセボ
・評価項目:
[主要評価項目]治験担当医師評価によるStage II/IIIA患者のDFS、推定HR=0.70
[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL
[事前に指定された探索的研究]再発パターン、中枢神経系病変(CNS)の再発または死亡(CNS DFS)
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値はオシメルチニブ群44.2ヵ月、プラセボ群19.6ヵ月であった。
・主要評価項目であるStage II/IIIAのDFS中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群21.9ヵ月で、HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)であった。
・すべてのサブグループでオシメルチニブ群が良好であり、事前の化学療法の有無によるDFS HRは、化学療法施行群0.29、化学療法なし群0.36、と事前の化学療法の有無にかかわらずオシメルチニブ群が良好であった。
・全体集団(Stage IB/II/IIIA)のDFS中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月、プラセボ群28.1ヵ月で、HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)であった。
・Stage II/IIIA症例でのCNS DFS中央値は両群とも未到達だが、HRは0.24(95%CI:0.14〜0.42)、とオシメルチニブ群で良い傾向であった。
・初発再発が多い肺、リンパ節、CNSのオシメルチニブ群、プラセボ群の再発率はそれぞれ、12%対26%、6%対17%、6%対11%、といずれもオシメルチニブ群で低かった。
・36ヵ月時点のCNS再発の条件付き(非CNSの再発・死亡なし)確率はオシメルチニブ群2%、プラセボ群13%であった。
・長期的な安全性プロファイルは、オシメルチニブのオシメルチニブの既知のものと一致していた。オシメルチニブ群の間質性肺疾患発現は3%(11例)で、すべてGrade1か2であった。
坪井氏は、このアップデートデータは、完全切除EGFR変異Stage IB/II/IIIAのNSCLCに対するオシメルチニブ±化学療法の術後補助療法を標準治療として裏付けるもの、との結論を示した。
(ケアネット 細田 雅之)