不健康なプラントベース食では死亡、がん、CVDリスクが増大

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/12

 

 “健康的”なプラントベース食(植物由来の食品)の摂取が多いほど、死亡、がん、心血管疾患のリスクが低くなるが、“不健康”なプラントベース食ばかりではそれらのリスクがむしろ高くなることが、英国・クイーンズ大学ベルファストのAlysha S. Thompson氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2023年3月28日号掲載の報告。

 プラントベース食は、卵、乳製品、魚、肉を少量のみ摂取またはまったく摂取しないことを特徴とする食事で、環境と健康の両方の理由から世界中で人気となっている。しかし、プラントベース食の質と死亡や慢性疾患のリスクに関する総合的な評価は不十分であった。そこで研究グループは、健康的なプラントベース食と不健康なプラントベース食が、英国成人の死亡や主要な慢性疾患(心血管疾患、がん、骨折など)と関連しているかどうかを調査した。

 調査は、UKバイオバンクの参加者を前向きに収集して行われた。2006~10年に40~69歳の参加者を募集して2021年まで追跡し、データの解析は2021年11月~2022年10月に行われた。主要アウトカムは、健康的/不健康なプラントベース食の順守の程度による、死亡率(全死因死亡および疾患特異的死亡)および心血管疾患(全イベント、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中)、がん(全がん、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん)、骨折(全部位、椎骨、股関節)の相対的危険度であった。

 健康的なプラントベース食か不健康なプラントベース食かどうかは、1日最低2回の食事を、24時間の平均摂取量に基づいて17項目の食品群(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、植物性の代替食品、紅茶/コーヒー、フルーツジュース、精製穀物、ジャガイモ、砂糖入り飲料、お菓子/デザート、動物性脂肪、乳製品、卵、魚介類、肉、その他の動物性食品)のスコアで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者12万6,394例(平均年齢56.1歳、女性55.9%、白人91.3%)を10.6~12.2年間追跡したところ、5,627例の死亡、6,890例の心血管疾患イベント、8,939例のがん、4,751例の骨折が発生した。
・健康的なプラントベース食をより多く摂取していたのは、女性、低BMI、高齢、服薬/健康異常なし、低アルコール摂取、高学歴の人であった。
・健康的なプラントベース食の順守率が最も高い四分位集団では、最も低い集団と比較して、全死因死亡、全がん、全心血管疾患のリスクが低かった(死亡のハザード比[HR]:0.84[95%信頼区間:0.78~0.91]、がんのHR:0.93[0.88~0.99]、心血管疾患のHR:0.92[0.86~0.99])。
・同様に、健康的なプラントベース食の順守率が最も高い集団では、心筋梗塞および虚血性脳卒中のリスクも低かった(心筋梗塞のHR:0.86[0.78~0.95]、虚血性脳卒中のHR:0.84 [0.71~0.99])。
・一方、不健康なプラントベース食を最も多く摂取していた集団では、全死因死亡、全がん、全心血管疾患のリスクが高かった(死亡のHR:1.23[1.14~1.32]、がんのHR:1.10[1.03~1.17]、心血管疾患のHR:1.21[1.05~1.20])。
・同様に、不健康なプラントベース食を最もよく摂取していた集団では、心筋梗塞および虚血性脳卒中リスクも高かった(心筋梗塞のHR:1.23[0.95~1.33]、虚血性脳卒中のHR:1.17[1.06~1.29])。
・健康的または不健康なプラントベース食と、出血性脳卒中、個別のがん種、骨折(全部位、部位別)には有意差はみられなかった。
・砂糖入り飲料、スナック/デザート、精製穀物、ジャガイモ、フルーツジュースの摂取量が少ない健康的な食事がリスクの低下と関連していた。
・これらは、性別、喫煙状況、BMI、社会経済的地位、多遺伝子リスクスコア(PRS)と関連はみられなかった。

 上記の結果より、研究グループは「健康的なプラントベース食の摂取が、心血管疾患、がん、および死亡のリスクの低下と関連していた。健康的なプラントベース食をより多く摂取し、動物性食品の摂取を減らすことで、慢性疾患の危険因子や遺伝子素因に関係なく健康に有益である可能性がある」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)