CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/03

 

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。

 対象は、2021年8月12日~2022年8月31日に慶應義塾大学病院を受診し、3種類のCGRPmAb(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)のいずれかを3ヵ月以上処方された日本人片頭痛患者。痛みの質、1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、過去の予防薬治療失敗の回数など、対象患者の基本的な片頭痛の特徴を収集した。治療反応者の定義は、治療3ヵ月後にMMDが50%以上低下した患者とした。治療反応者と非反応者におけるベースライン時の片頭痛の特徴を比較し、ロジスティック回帰分析を用いて、統計学的な有意差を検証した。

 主な結果は以下のとおり。

・分析対象の患者数は、合計101例(ガルカネズマブ:57例、フレマネズマブ:31例、エレヌマブ:13例)であった。
・治療3ヵ月後の治療反応者は55例(54%)であった。
・治療反応者と非反応者を比較すると、治療反応者は非反応者よりも年齢が有意に高く(p=0.003)、MHD(p=0.027)および過去の予防薬治療失敗の合計回数(p=0.040)が有意に少なかった。
・日本人片頭痛患者におけるCGRPmAb治療反応の正の予測因子は年齢であり、負の予測因子は過去の予防薬治療失敗の合計回数、免疫リウマチ性疾患の病歴であった。

(鷹野 敦夫)