アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤の安全性~ピボタル試験

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/05/18

 

 アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤960mg(Ari 2MRTU 960)は、2ヵ月ごとに臀部筋投与を行う新たな長時間作用型注射剤の抗精神病薬であり、現在、統合失調症および双極I型障害の治療に対する研究が実施されている。米国・大塚ファーマシューティカル D&CのMatthew Harlin氏らは、統合失調症または双極I型障害の成人患者に対するAri 2MRTU 960の安全性および忍容性を評価し、同薬剤とアリピプラゾール月1回製剤400mg(AOM 400)の血中濃度の類似性を調査した。その結果、統合失調症または双極I型障害の成人患者において、Ari 2MRTU 960は良好な忍容性が認められ、AOM 400と同等の安全性プロファイルを有していることが確認された。CNS Drugs誌2023年4月号の報告。

 32週間のオープンラベル試験を実施した。対象患者は、56±2日ごとのAri 2MRTU 960投与(4回実施予定)または28±2日ごとのAOM 400投与(8回実施予定)のいずれかに1:1でランダムに割り付けられた。初回投与時に、AOM 400で安定していた患者を除き、重複した経口抗精神病薬で治療を行った。安全性、忍容性、薬物動態の評価は、研究期間を通して実施した。主要安全性評価項目には、報告された有害事象、注射部位反応、錐体外路症状を含めた。主要薬物動態評価項目は、Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後およびAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾールの血中濃度、Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCまたはAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCとした。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者266例(統合失調症:185例、双極I型障害:81例)は、Ari 2MRTU 960群132例、AOM 400群134例にランダムに割り付けられた。
・男性の割合は66.2%、黒人またはアフリカ系米国人の割合は72.9%、平均年齢は47.3歳であり、人口統計学的特性およびベースライン時の疾患特性に両群間で差は認められなかった。
・試験完了率は、Ari 2MRTU 960群77.3%、AOM 400群68.7%であった。
・試験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、Ari 2MRTU 960群71.2%、AOM 400群70.9%と同程度であった。
・頻度の高かったTEAEは、体重増加(Ari 2MRTU 960群:22.7%、AOM 400群:20.9%)、注射部位の痛み(Ari 2MRTU 960群:18.2%、AOM 400群:9.0%)であった。
・Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後とAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾール血中濃度の幾何平均の比(GMR)は、1.011(90%信頼区間[CI]:0.893~1.145)であった。
・Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCとAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCのGMRは、1.006(90%CI:0.851~1.190)であった。

(鷹野 敦夫)