ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の長期使用は推奨されていないにもかかわらず、患者や医師がどのように認識しているかは、あまりよくわかっていない。聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、精神科外来患者および精神科医において、BZDの使用と中止の意思決定に関する認識を評価し比較するため、横断調査を実施した。その結果、精神科外来患者の多くは、自分の意思に反して睡眠薬または抗不安薬を長期的に使用していることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年4月3日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・精神科外来患者104人のうち、1年以上睡眠薬を使用していた患者は92%、1年以上抗不安薬を使用していた患者は96%であった。また、開始後1年以内に睡眠薬または抗不安薬を漸減する意向を示していた患者は49%であった。
・多くの精神科医が患者と比較し、医師と患者は対等な基準で共に意思決定していると感じていた(p<0.001)。
・一方、多くの患者は精神科医と比較し、医師の意見を考慮し意思決定した(された)と感じていた(p<0.001)。
・精神科医543人のうち79%が、患者は睡眠薬または抗不安薬の中止に消極的だったと報告した。
・一方、患者は、睡眠薬または抗不安薬の中止に関して、精神科医が手順(18.3%)、タイミング(19.2%)、適切な状態(14.4%)について十分な説明をしなかったと報告した。
著者らは、「睡眠薬または抗不安薬の使用と中止の意思決定について、精神科外来患者と精神科医との間に認識の差があり、このギャップを埋めるにはさらなる研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)