シスプラチン不適格の局所進行または転移を有する尿路上皮がん(UC)に対する1次治療としての、エンホルツマブ ベドチン(EV)とペムブロリズマブ(Pem)の併用療法のフォローアップ解析が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、米国・Taussig Cancer InstituteのShilpa Gupta氏から発表された。
第Ib/II相のEV-103試験における、用量漸増コホート(5例)と拡大コホートA(40例)合計45例の解析で、追跡期間中央値は47ヵ月である。
・対象:未治療のシスプラチン不適格の局所進行または転移を有するUC
・介入:EV(day1、8)+Pem(day1) 3週ごと
・評価項目:
[主要評価項目]安全性
[副次評価項目]奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など
主な結果は以下のとおり。
・ORRは73.3%、DCRは84.4%であり、投与サイクル中央値は9であった。
・DOR中央値は22.1ヵ月、12ヵ月DOR率(非PD症例の割合)は63.9%、24ヵ月DOR率は47.0%であった。また、PFS中央値は12.7ヵ月、12ヵ月PFS率は55.0%、24ヵ月 PFS率は41.1%であった。
・OS中央値は26.1ヵ月、12ヵ月OS率は83.4%、24ヵ月OS率は56.4%であり、その後も持続的な効果が認められていた。
・治療関連有害事象(TRAE)は、95.6%の症例に認められ、主なものは末梢神経障害(55.6%)、倦怠感(51.1%)、脱毛(48.9%)などであった。Grade3以上のTRAEは64.4%に認められ、主なものはリパーゼ上昇(17.8%)、斑状丘疹状皮疹(11.1%)、倦怠感(11.1%)などであった。
・TRAEの発現までの時間(中央値)は、皮膚障害0.7ヵ月、末梢神経障害2.4ヵ月、高血糖0.5ヵ月で、回復までの期間はそれぞれ1.2ヵ月、7.2ヵ月、1.6ヵ月であった。
最後に演者は、中央値4年にわたる長期追跡の結果でも、EV+Pemは管理可能な安全性プロファイルを有し、高い奏効率、効果の持続性、2年を超える生存期間中央値といった、臨床的に意味のある有効性を示した、と述べている。
(ケアネット)