シスプラチン不適応の進行尿路上皮がんの1次治療ペムブロリズマブ+エンホルツマブ・ベドチンは有望(EV-103)/ESMO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/26

 

 シスプラチン不適応の局所進行または転移のある尿路上皮がんに(mUC)対する1次治療として、ペムブロリズマブとエンホルツマブ・ベドチン(EV)の併用療法に関する報告が、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJonathan E. Rosenberg氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。

 これは第Ib/II相のEV-103試験(KEYNOTE-869試験)の中から、第II相部分のコホートKの解析結果発表である。

・対象:前治療歴のないシスプラチン不適応のmUC症例
・試験群:ペムブロリズマブ(day1)+EV(day1、8)3週ごと(Pem群:76例)
・対照群:EV(day1、8)2週ごと(EV群:73例)
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価委員会による奏効率(ORR)
[副次評価項目]主治医判定によるORR、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・患者背景は、年齢中央値は71~74歳、両群とも8割に内臓転移があり、PD-L1発現CPS 10以上は4割であった。シスプラチン不適応の主な理由は、両群ともに6割が腎機能障害だった。
・データカットオフ(2022年6月)時点でPem群の32.5%、EV群の10.8%が治療継続中であり、投与サイクル数中央値はPem群11.0、EV群8.0であった。
・Pem群のORRは64.5%(CR:10.5%)でEV群は45.2%(CR:4.1%)であった。奏効までの期間中央値は両群共に2.07ヵ月であった。
・Pem群では、97.1%で腫瘍縮小が認められ、その効果はPD-L1の発現状態(CPS10以上/10未満)と相関はなく、ネクチン-4の発現レベルとの関連性もなかった。
・DOR中央値はPem群未到達、EV群13.2ヵ月、12ヵ月以上の奏効期間を示した症例はPem群で65.4%、EV群で56.3%であった。
・PFS中央値はPem群未到達、EV群8.0ヵ月、12ヵ月PFS率は55.1%と35.8%であった。
・OS中央値はPem群22.3ヵ月、EV群21.7ヵ月であった。12ヵ月OS率は80.7%と70.7%だった。
・Grade3以上の有害事象はPem群の63.2%、EV群の47.9%に発現し、重篤なものは、23.7%と15.1%であった。多く認められた有害事象は、倦怠感、末梢神経障害、皮膚障害、脱毛などで、とくにGrade3以上の皮膚障害がPem群の21.1%、EV群の8.2%に発現した。

 演者は「現在ペムブロリズマブとEV併用の第III相試験が3本進行中であり、この両剤の併用療法はシスプラチン不適応のmUC症例への可能性を示唆している」と結んだ。

(ケアネット)

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