アステラス製薬は2023年10月23日付のプレスリリースにて、治療歴のない局所進行/転移尿路上皮がん(la/mUC)患者を対象とした第III相EV-302/KEYNOTE-A39試験において、エンホルツマブ ベドチン(商品名:パドセブ)※とペムブロリズマブの併用療法が、化学療法と比較して、死亡リスクを53%減少、全生存期間(OS)の中央値を15ヵ月以上延長したと発表した。本結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告された。
※アステラス製薬がSeagenと共同で開発を進めている抗体maru-薬物複合体(ADC)
主な結果は以下のとおり。
EV-302試験で、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法群(以下「併用療法群」)は、白金製剤+ゲムシタビンを用いた化学療法群と比較して、OSおよび無増悪生存期間(PFS)を延長し、主要評価項目を達成した。
●OS中央値は、併用療法群で31.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:25.4~未到達)、化学療法群で16.1ヵ月(95%CI:13.9~18.3)だった。
・併用療法群でOSを有意に延長し、化学療法群と比較して死亡リスクを53%減少させた(ハザード比[HR]:0.47、95%CI:0.38~0.58、p<0.00001)。
・独立データモニタリング委員会は、OSの中間解析において、事前に規定した有効性の基準を満たしたと判断した。
●PFS中央値は、併用療法群で12.5ヵ月(95%CI:10.4~16.6)、化学療法群で6.3ヵ月(95%CI:6.2~6.5)だった。
・併用療法群は、化学療法群と比較して、がんの進行または死亡のリスクを55%減少させた(HR:0.45、95%CI:0.38~0.54、p<0.00001)。
●シスプラチン適応の可否やPD-L1発現レベルなど、事前に規定したすべてのサブグループにおいて、一貫したOSの結果が得られた。
●併用療法群のGrade3以上の治療関連有害事象(3%以上)は、斑状丘疹状皮疹、高血糖、好中球減少症、末梢性感覚ニューロパチー、下痢、貧血であった。EV-302試験における併用療法群の安全性は、シスプラチン不適応のla/mUC患者を対象に実施したEV-103試験と同様の結果で、新たな安全性上の問題は確認されなかった。
●副次評価項目のうち、併用療法群における奏効率(ORR)は68%(95%CI:63.1~72.1)であったのに対し、化学療法群のORRは44%(95%CI:39.7~49.2)だった(p<0.00001)。併用療法群では、完全奏効は29.1%、部分奏効は38.7%の患者で認められた。一方、化学療法群では、それぞれ12.5%および32.0%だった。奏効期間は、併用療法群では中央値に到達せず、化学療法群では7ヵ月(95%CI:6.2~10.2)だった(p<0.00001)。
(ケアネット 石原 菜保子)