抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、新しい片頭痛予防薬である。また、米国においてCGRP受容体拮抗薬であるatogepantが片頭痛予防薬として承認された。中国・首都医科大学のWenfang Sun氏らは、将来の臨床試験の参考となるよう、さまざまな用量の抗CGRPモノクローナル抗体およびatogepantを含む片頭痛治療に対する有効性および安全性を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、すべての抗CGRP薬は片頭痛予防に効果的であり、とくにフレマネズマブ225mg/月、エレヌマブ140mg/月、atogepant 60mg/日は、副作用リスクが低く、効果的な介入であることが示唆された。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2023年6月2日号の報告。
2022年5月までに公表された文献をPubMed、Embase、およびコクランライブラリーより検索した。対象には、反復性または慢性片頭痛患者を対象にエレヌマブ、フレマネズマブ、eptinezumab、ガルカネズマブ、atogepantまたはプラセボによる治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を含めた。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少、50%治療反応率、有害事象数とした。バイアスリスクの評価には、Cochrane Collaboration toolを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・24件の文献を分析対象に含めた。
・有効性に関しては、すべての介入がプラセボよりも優れており、統計学的に有意な差が認められた。
・もっとも効果的な介入は、以下のとおりであった。
【1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少】
フレマネズマブ225mg/月(標準化平均差[SMD]:-0.49、95%信頼区間[CI]:-0.62~-0.37)
【50%治療反応率】
フレマネズマブ225mg/月(相対リスク:2.98、95%CI:2.16~4.10)
【急性投薬日数の減少】
エレヌマブ140mg/月(SMD:-0.68、95%CI:-0.79~-0.58)
・有害事象に関しては、ガルカネズマブ240mg/月およびフレマネズマブ675mg/四半期を除き、すべての治療においてプラセボとの統計学的な優位性は認められなかった。
・有害事象による治療中止に関しては、介入群とプラセボ群との間に有意な差は認められなかった。
(鷹野 敦夫)