認知症予防に対するコーヒーおよび紅茶の摂取の可能性について調査した研究結果は、現状では一貫性が得られていない。ノルウェー科学技術大学のDenise Abbel氏らは、中年成人を対象に紅茶または各種コーヒーの摂取とその後の認知症リスクとの関連およびこの関連に性別、ApoE4が及ぼす影響を調査するため、本研究を実施した。その結果、コーヒー摂取の習慣とその後の認知症リスクとの関連に対し、摂取するコーヒーの種類が影響を及ぼしている可能性が示唆された。Nutrients誌2023年5月25日号の報告。
対象は、ノルウェーHUNT研究の参加者7,381人。ベースライン時の毎日のコーヒーおよび紅茶の摂取量は、自己報告アンケートにより収集した。22年後、70歳以上の対象者に対し、認知機能検査を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・コーヒーおよび紅茶の摂取量が一般的な場合、認知症リスクとの関連は認められなかった。
・コーヒーの摂取量が0~1cup/日の場合と比較し、煮出しコーヒーを8cup/日以上摂取した女性では認知症リスクの上昇が認められ(オッズ比[OR]、95%信頼区間[CI]:1.10~3.04、p for trend=0.03)、他の種類のコーヒーを4~5cup/日摂取した男性では認知症リスクの低下が認められた(OR:0.48、95%CI:0.32~0.72、p for trend=0.05)。
・煮出しコーヒーと認知症リスク上昇との関連性は、ApoE4非キャリアのみで認められた。
・性別またはApoE4キャリアの違いは、相互作用に関する強い統計学的エビデンスとはいえなかった。
・紅茶の摂取と認知症リスクとの関連は認められなかった。
(鷹野 敦夫)