抗精神病薬は、長期間にわたり使用されることが多いにもかかわらず、体重への影響に関するエビデンスの大半は、短期的な臨床試験による報告にとどまっている。とくに、抗精神病薬の投与量による体重への影響については、ほとんど調査されていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJuan Carlos Bazo-Alvarez氏らは、3種類の第2世代抗精神病薬を高用量または低用量で開始した患者における体重への短期的および長期的変化について検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年11月14日号の報告。
本研究は、2005~15年に英国プライマリケアにて精神疾患と診断された患者を対象としたレトロスペクティブコホート研究。3種類の第2世代抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)の初回使用より調査を行った。主要アウトカムは、性別および高用量または低用量で層別化した後の、抗精神病薬治療開始の4年前と4年後との体重変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者は、女性2万2,306例、男性1万6,559例であった。
・オランザピン治療は、体重変化が最も高く、高用量でより多くの体重増加が認められた。
・4年後の体重増加は、オランザピンの高用量(5mg超)女性で平均+6.1kg、低用量(5mg以下)で平均+4.4kgであった。
・オランザピン治療の最初の6週間における体重増加は、高用量で平均+3.2kg、低用量で平均+1.9kgであった。
・男性でも、その傾向は同様であった。
・リスペリドンおよびクエチアピン治療患者では、短期的および長期的な体重増加は少なかった。
著者らは「オランザピン治療は、体重増加が最も多かった。高用量とより多くの体重増加との関連が認められた。臨床医は、メンタルヘルス上のベネフィット、体重増加、その他の有害事象とのバランスを取るため、最低有効量による治療を心掛ける必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)