オーストラリア・St Vincent's HospitalのPrudence Vivarini氏らは、摂食障害(ED)外来患者における境界性パーソナリティ障害(BPD)症状の有症率を調査し、BPD症状とその重症度、苦痛、機能との関連を評価した。その結果、ED外来患者はBPD症状の有症率が高いことが示唆され、著者らはED患者に対するBPDスクリーニングの必要性を報告した。Personality and Mental Health誌オンライン版2022年8月29日号の報告。
対象は、ED外来患者119例。境界性パーソナリティ障害のMcLeanスクリーニング尺度(MSI-BPD)を用い(カットオフ値:7)、BPD症状が高い群(高BPD群)と低い群(低BPD群)に分類した。ED診断、ED発症年齢、評価時の年齢、罹病期間、BMI、ED症状、心理的苦痛、心理社会的機能について両群間で比較した。BPD症状とこれら変数との関係を評価するため、相関分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・MSI-BPDスコアが7以上の患者は54例(45.4%)であり、BPDと診断された(高BPD群)。
・高BPD群と低BPD群(65例)との間に、ED発症年齢、評価時の年齢、罹病期間、BMI、ED診断率の差は認められなかった。
・高BPD群は、ED症状、心理的苦痛が有意に大きく、心理社会的機能の有意な低下が認められた。
・MSI-BPDスコアとこれら変数との間に正の相関が認められた。
(鷹野 敦夫)