わが国の平均寿命、コロナの影響などで男女とも低下/厚生労働省

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/10

 

 厚生労働省は、7月28日に令和4年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となり、前年と比較し男性は0.42年、女は0.4年下回ったほか、平均寿命の男女差は6.03年で前年より0.07年縮小した。

 平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男性は悪性新生物(腫瘍)などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いていたが、男女とも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働いていた。

 死因別死亡確率(主要死因)について、65歳では男女とも悪性新生物(腫瘍)の死亡確率が低く、心疾患、老衰の死亡確率が高くなっており、75歳および90歳ではさらにこの傾向が強くなっていた。前年と比較すると、悪性新生物(腫瘍)、心疾患、脳血管疾患および肺炎の死亡確率は、65歳、75歳および90歳のすべての年齢で男女とも低下していた。老衰の死亡確率は、男性はすべての年齢で上昇、女性は65歳および75歳で低下、90歳で上昇していた。

平均寿命の男女差は年々縮小

【平均寿命の年次推移】( )内は男女差
令和2年 男性81.56歳 女性87.71歳(6.15年)
令和3年 男性81.47歳 女性87.57歳(6.10年)
令和4年 男性81.05歳 女性87.09歳(6.03年)

【平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数】
・平均寿命の延長に寄与した死因
 男性:悪性新生物[腫瘍](0.06年)、肺炎(0.01年)
 女性:肺炎(0.01年)
・平均寿命の短縮に寄与した死因
 男性:COVID-19(0.12年)、心疾患(0.07年)、老衰(0.05年)
 女性:COVID-19(0.13年)、老衰(0.10年)、心疾患(0.06年)

【死因別死亡確率(主要死因)上位3つ】
・65歳
 男性:悪性新生物[腫瘍](26.16%)、心疾患(14.31%)、老衰(8.31%)
 女性:老衰(19.79%)、悪性新生物[腫瘍](17.72%)、心疾患(16.32%)
・75歳
 男性:悪性新生物[腫瘍](24.49%)、心疾患(14.50%)、老衰(9.73%)
 女性:老衰(21.18%)、心疾患(16.76%)、悪性新生物[腫瘍](15.50%)
・90歳
 男性:老衰(17.91%)、心疾患(15.94%)、悪性新生物[腫瘍](14.43%)
 女性:老衰(29.51%)、心疾患(17.61%)、悪性新生物[腫瘍](9.02%)

【平均寿命の国際比較】※入手可能な資料より算出
 日本 男性81.05歳 女性87.09歳
 男性の最高:スイス(81.6歳)/男性の最低:コンゴ民主共和国(56.5歳) 
 女性の最高:日本(87.09歳)/女性の最低:コンゴ民主共和国(59.7歳)

(ケアネット 稲川 進)

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