2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。
平均睡眠時間/睡眠の質に満足、全体の48%
今回は平均睡眠時間(当直時を除く)や睡眠に対する満足度、気になっていることについてそれぞれ質問した。平均睡眠時間や睡眠の質に満足していると回答した割合が半数以上であった診療科は全9科(血液内科、皮膚科、泌尿器科、精神科/心療内科、神経内科、腎臓内科、総合診療科、耳鼻咽喉科、内科)であった。一方、満足している回答者が少なかったのは、眼科(25%)、産婦人科(30%)、放射線科(31%)と続き、臨床研修医(37%)も満足できていない実態が明らかになった。また、年代別の満足度を見ると70代以上(59%)、40代(50%)、60代(49%)と続いた。
1日の平均睡眠時間、6時間が最多
経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った「1日の睡眠時間(睡眠に充てる時間)」に関する調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分と33ヵ国平均(8時間28分)と比較しても1時間以上短い。さらに「スタンフォード式 最高の睡眠」の著者である株式会社プレインスリープ創業者/最高研究顧問の西野 精治氏らが調査した日本人の平均睡眠時間は6時間43分と報告されている。これらを参考に、ここでは「睡眠時間5時間以下を睡眠時間が短い」と定義すると、本アンケート全体では4人に1人が睡眠不足であり、血液内科、総合診療科、麻酔科、小児科などが該当した。ただし、血液内科においては睡眠時間が短くても現状に満足していると回答している人が多く、睡眠時間が長い=満足、につながるわけではないことも言えるのではないだろうか。ちなみに、こちらも年代で見てみると、睡眠への満足度が高かった70代の3割超は5時間睡眠であった。
医師が睡眠時に気になっていること
続いて「医師自身が睡眠時において気にしていること」を尋ねたところ、回答者の2/3が睡眠中の悩みを抱えており、最も多かったのは中途覚醒で、50代以上の回答が多かった。そのほか、いびき、入眠障害も年齢層問わず悩みの種として挙げられた。
睡眠の質向上のため、マットレスや枕にこだわる
今回のアンケートでは医師が睡眠のためにこだわっている物事、活用している物も聞いてみた。その結果、枕と回答した人が最も多く(397人)、オススメ商品として「テンピュール」「じぶんまくら」を多数が挙げていた。次にマットレス/布団(317人)と回答した人が多く、「エアウィーヴ」「コアラマットレス」「シモンズ」などが選ばれていた。また、睡眠のために、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料やサプリメントの摂取、就寝時間や食事時間など時間管理を挙げる人も多かった。
なお、厚生労働省は今年3月、睡眠について気になっているけれど対処法がわからずに悩んでいる人、肥満、高血圧、糖尿病などの疾患がある人を含む幅広い人を対象に作成された『
良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと』というパンフレットとともにその
解説書を公開しており、患者への生活指導のみならず医師にも役立つツールなので、ぜひ参考にされたい。
このほか、医師の睡眠実態の詳細ほか、以下のアンケ―ト結果では医師が個人の見解でオススメする寝具、意識して取り入れている物の一覧も公開している。
『医師の平均睡眠時間、睡眠への満足度は?』
<アンケート概要>
目的:睡眠が健康管理の重要なカテゴリーとして注目されていることから、多忙な医師の睡眠状況、睡眠に対する意識を調査した。
対象:ケアネット会員医師 1,000人
調査日:2023年8月24日
方法:インターネット
(ケアネット 土井 舞子)