スマホゲームで慢性期統合失調症患者の認知機能が改善

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/22

 

 中国・安徽医科大学のShengya Shi氏らは、慢性期統合失調症患者の認知機能改善に対するビデオゲームの有効性を調査し、認知機能に対するビデオゲームのバイオマーカーを評価するため、予備的研究を行った。その結果、ビデオゲーム介入は、慢性期統合失調症患者の認知機能を改善することが示唆され、血清BDNFレベルがこの効果を予測するバイオマーカーである可能性を報告した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2023年8月18日号の報告。

 ゲーム群には、1人用のスマートフォンビデオゲームを1時間/日、週5回プレーを6週間行った。対照群は、1時間/日、週5回のテレビ視聴を6週間行った。認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)およびストループ色彩単語検査(SCWT)を用いた。臨床症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、機能の全体的評価尺度(GAF)、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSE)、モバイルゲーム依存アンケート(PMGQ)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・ゲーム群では、試験期間中にRBANS合計スコアの改善が認められた。
・すべてのSCWTスコアにおいて、両群間の差は認められなかった。
・ゲーム群では、PANSSの陰性症状およびGAFの全体的機能のより大きな改善が認められた。
・PMGQスコアは、両群ともにすべての時点において、カットオフスコアよりも低値であった。
・PHQ-9およびGSEスコアは、両群間で差は認められなかった。
・6週間のビデオゲーム介入後、ゲーム群では、血清BDNFレベルが有意に高かった。
・すべての参加者において、血清BDNF レベルとRBANS合計スコアとの正の相関が認められた。

(鷹野 敦夫)