切除不能または転移を有する尿路上皮がん1次治療、化療へのニボルマブ追加でOS改善(CheckMate 901)/ESMO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/25

 

 切除不能または転移を有する尿路上皮がんの1次治療として、シスプラチンベースの化学療法へのニボルマブの追加が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相CheckMate 901試験の結果を、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMichiel S. van der Heijden氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。なお本結果は、2023年10月22日にNEJM誌オンライン版へ同時掲載されている。

・対象:シスプラチン適格、未治療の切除不能または転移を有する尿路上皮がん患者(18歳以上、ECOG PS 0~1)
・試験群:ニボルマブ(360mg、1日目)+ゲムシタビン(1,000mg/m2、1日目・8日目)+シスプラチン(70mg/m2、1日目)を3週ごとに最大6サイクルまで→ニボルマブ(480mg)を4週ごとに疾患進行/許容できない毒性の発現または最大2年まで 304例
・対照群:ゲムシタビン+シスプラチン 304例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるOS、PFS
[副次評価項目]PD-L1≧1%におけるOS、PFS、健康関連QOL(HRQOL)
[探索的評価項目]BICRによる奏効率(ORR)、安全性
・層別化因子:PD-L1発現状況(≧1% vs.<1%)、肝転移の有無

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時における年齢中央値は両群で65歳、PD-L1≧1%が試験群37% vs.対照群36%、肝転移ありが両群で21%だった。
・追跡期間中央値33.6ヵ月において、主要評価項目のBICRによるOS中央値は試験群21.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:18.6~26.4)vs.対照群18.9ヵ月(95%CI:14.7~22.4)だった(ハザード比[HR]:0.78、95%CI:0.63~0.96、p=0.0171)。
・BICRによるPFS中央値は、試験群7.9ヵ月(95%CI:7.6~9.5)vs.対照群7.6ヵ月(95%CI:6.1~7.8)だった(HR:0.72、95%CI:0.59~0.88、p=0.0012)。
・ORRは試験群57.6% vs.対照群43.1%(奏効期間中央値:9.5ヵ月vs.7.3ヵ月)、完全奏効(CR)は21.7% vs.11.8%(CR持続期間中央値:37.1ヵ月vs.13.2ヵ月)だった。
・Grade3以上の治療関連有害事象発生率は、試験群62% vs.対照群52%で、貧血、悪心、好中球減少症など化学療法でよくみられるものが多かった。
・免疫関連有害事象は試験群で多かったが、Grade3以上は少なく、死亡例は報告されていない。
・16週間のHRQOL評価は安定的で、両群で同様だった。

 Heijden氏は、ニボルマブ+シスプラチンベースの化学療法は、同患者において、新しい毒性シグナルを伴わずにOSおよびPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した初めての免疫チェックポイント阻害薬+化学療法の組み合わせであり、今回の結果は同療法が新たな標準治療であることを支持するものとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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