転倒リスクが低減する運動は週何分?

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/28

 

 高齢女性7,000人超を対象としたコホート研究によって、150分/週以上の余暇の運動を行っている場合、けがを伴う転倒とけがを伴わない転倒の両方のリスクが有意に低減したことを、オーストラリア・シドニー大学のWing S. Kwok氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年1月31日号掲載の報告。

 世界保健機関(WHO)は、心身の健康のために150~300分/週の中強度の運動を行うことを推奨している。しかし、これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、運動量と転倒または転倒に伴うけがとの関連に一貫性がない。そこで研究グループは、高齢女性における余暇の運動量・種類と、けがを伴わない転倒およびけがを伴う転倒との間に関連性があるかどうかを調べるため、一般集団ベースのコホート研究を行った。

 研究グループは、オーストラリア女性の健康に関する縦断研究(ALSWH)のデータをレトロスペクティブに解析した。解析には、1946~51年生まれで、2016年と2019年の追跡調査票に記入した7,139人(平均年齢[SD]:67.7[1.5]歳)が含まれた。2016年の調査では、運動の種類(早歩き、中強度の運動[軽いテニスや水泳など]、高強度の運動[呼吸が荒くなるようなエアロビクス、サイクリング、ランニングなど])と1週間当たりの運動量(0分、1~150分未満、150~300分未満、300分以上)を聴取した。2019年の調査では、過去12ヵ月間の転倒と転倒に伴うけがの有無を聴取した。

 主な結果は以下のとおり。

・7,139人中2,012人(28.2%)が過去12ヵ月間に転倒した。996人がけがを伴わない転倒、1,016人がけがを伴う転倒であった。
・運動をしなかった(0分/週)群と比較して、1~150分/週群のけがを伴わない転倒のオッズ比(OR)は0.88(95%信頼区間[CI]:0.71~1.10)で有意な関連は認められなかった。150~300分/週群は0.74(0.59~0.92)、300分以上/週群は0.66(0.54~0.80)で関連が認められた。
・けがを伴う転倒のORは、1~150分/週群が0.87(95%CI:0.70~1.09)で同じく関連が認められず、150~300分/週群は0.70(0.56~0.88)、300分以上/週群は0.77(063~0.93)で関連が認められた。
・運動の種類別にみると、早歩き(OR:0.83[95%CI:0.70~0.97])、中強度の運動(0.81[0.70~0.93])および中~高強度の運動(0.84[0.70~0.99])を行っている集団では、けがを伴わない転倒のリスクが低減した。高強度の運動はリスク低減傾向にあったが有意ではなかった(0.87[0.74~1.01])。
・すべての運動の種類とけがを伴う転倒との間には統計学的に有意な関連は認められなかった。

(ケアネット 森 幸子)