便潜血検査でのがん検診、有効性を評価~38万人を14年間追跡

提供元:ケアネット

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公開日:2024/03/11

 

 便潜血検査を用いた大腸がん定期検診で、大腸がん死亡率をどれくらい低下させられるのか。スウェーデン・SodersjukhusetのJohannes Blom氏らが、便潜血検査による大腸がん定期検診時期による大腸がん死亡率を、前向きコホート研究で検討した。その結果、60~69歳の検診対象住民のうち、最初の5年間に検診の案内が届いた人は、それより遅く届いた人や届かなかった人に比べて、14年間の追跡期間において大腸がん死亡率が14%減少したことがわかった。JAMA Network Open誌2024年2月27日号に掲載。

 本試験は、スウェーデン・ストックホルム-ゴットランド地域の1938~54年生まれの検診対象者(60~69歳)を対象に、2008年1月1日~2021年12月31日に実施された。住民は2年ごとの便潜血検査(グアヤック法)による大腸がん検診に早期(2008~12年)または後期(2013~15年)に案内が届くか、またはまったく案内が届かなかった。早期に案内が届いた人を曝露群、後期に届いた人または届かなかった人を対照群とし、主要評価項目は大腸がん死亡率とした。超過死亡数は、大腸がんに罹患した人の全死因死亡数から、大腸がんに罹患しなかった場合に予想される死亡数を引いた。また、ポアソン回帰分析を用いて、死亡の発生率比(RR)と95%信頼区間(CI)を追跡年数と到達年齢で調整し推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は計37万9,448人(女性51.0%)で、曝露群20万3,670人、対照群17万5,778人であった。平均受診率は63.3%で、追跡期間は最長14年であった。
・曝露群では219万589人年で834例が大腸がんで死亡したのに対し、対照群では224万9,939人年で889例が大腸がんで死亡した。
・早期に大腸がん検診を受けた群では、大腸がん死亡(RR:0.86、95%CI:0.78~0.95)および超過死亡(RR:0.84、95%CI:0.75~0.93)の調整リスクが減少した。

(ケアネット 金沢 浩子)