アストラゼネカとサノフィは2024年3月27日付のプレスリリースにて、長時間作用型モノクローナル抗体であるベイフォータス(一般名:ニルセビマブ[遺伝子組換え])が「生後初回または2回目のRS(Respiratory Syncytial)ウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」ならびに「生後初回のRSウイルス感染流行期の前出以外のすべての新生児および乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」を適応として、3月26日に日本における製造販売承認を取得したことを発表した。
ニルセビマブは、重症化リスクの高い早産児、特定の疾患を有する新生児、乳幼児におけるRSウイルス感染による下気道疾患(LRTD)の発症抑制に加え、世界で初めて健康な新生児または乳児をRSウイルスから守るために承認された予防を効能・効果とする薬剤である。今回の承認は、ニルセビマブの3つの主要な後期臨床試験に基づく。すべての臨床評価項目において、ニルセビマブの単回投与は一般的なRSウイルス感染流行期間とされる5ヵ月間にわたり、RSウイルス感染によるLRTDに対して一貫した有効性を示した。
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学 主任教授の森内 浩幸氏は、「2歳までにほぼすべての子供が罹患し、その数十%は細気管支炎や肺炎を起こします。流行すると小児病棟はこの病気の患児が増加し場合によっては酸素が投与され、人工呼吸器装着や集中治療管理が必要なことも経験します。RSウイルスはずっと昔からいて、毎年多くの子供たちを苦しめてきました。元々健康な子を含むすべての乳児がこのウイルス、RSウイルスのリスクに曝されています。幸いRSウイルス感染症の重症化を防ぐ手段が登場し、小児科医にとって朗報です」と述べている。
<製品概要>
販売名:ベイフォータス筋注50mgシリンジ、ベイフォータス筋注100mgシリンジ
一般名:ニルセビマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果:
1. 生後初回又は2回目のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制
2. 生後初回のRSウイルス感染流行期の1. 以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防
用法及び用量:
生後初回のRSウイルス感染流行期には、通常、体重5kg未満の新生児及び乳児は50mg、体重5kg以上の新生児及び乳児は100mgを1回、筋肉内注射する。
生後2回目のRSウイルス感染流行期には、通常、200mgを1回、筋肉内注射する。
製造販売承認年月日:2024年3月26日
製造販売元:アストラゼネカ株式会社
販売元:サノフィ株式会社
(ケアネット 石原 菜保子)