免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療となっている。KEYNOTE-024試験でみられるように、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブはPD-L1発現≧50%の進行NSCLCにおいてPFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を有意に延長している1,2)。しかし、PD-L1陽性であってもICIが奏効しない症例は依然として存在する。
EGFRの発現はPD-L1のグリコシル化を介しPD-L1の発現を安定化させ、PD-1とPD-L1の結合を強化することが報告されており3)、抗EGFR抗体ネシツムマブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法は新しい治療コンセプトとして期待されている。K-TAIL-202試験はPD-L1高発現NSCLCの初回治療として、ネシツムマブとペムブロリズマブの併用を評価した第II相試験。昭和大学の堀池 篤氏が米国がん研究協会年次総会(AACR2024)で結果を発表した。
・対象:未治療のPD-L1発現≧50%の進行NSCLC(EGFR、ALK変異なし)
・介入:ネシツムマブ+ペムブロリズマブ 3週ごと2年間または35サイクル(n=50)
・評価項目:
[主要評価項目]奏効率(ORR)
[副次評価項目]PFS、OS
ORR期待値の設定はKEYNOTE-024試験のORR44.8%1)を10ポイント上回る54.8%とした。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は14.2ヵ月であった。
・患者の年齢中央値は72歳、男性が76%、現・過去喫煙者が88%、腺がんが60%であった。
・ORRは76.0%で、病勢コントロール率は86.0%(CR2%、PR74%、SD10%)であった。
・58%の患者が50%以上の標的病変縮小を示した。
・PFS中央値は15.7ヵ月、OS中央値は未到達であった。
・ネシツムマブによる試験治療下における有害事象(TEAE)発現は全Gradeで98%、Grade≧3は40%で、頻度の高いTEAEは、ざ瘡様皮疹、低マグネシウム血症などであった。
・治療中止に至ったTEAEは26%、死亡に至ったTEAEは2%(1例)に発現した。
・Grade3の間質性肺疾患が10%(5例)で発現したが、ステロイド治療により改善した。
今回のK-TAIL-202試験結果から、PD-L1高発現進行NSCLC初回治療におけるネシツムマブとペムブロリズマブ併用の可能性が示唆される。
(ケアネット)