不眠症は広くまん延しており、生活習慣病の発症や早期死亡のリスク因子となっている。不眠症を改善するためには、不眠症に影響を及ぼす因子を特定する必要がある。山形県立米沢栄養大学の鈴木 美穂氏らは、日本人の一般集団における不眠症の症状と精神的、身体的、環境的因子との関連を調査した。Heliyon誌2024年3月15日号の報告。
対象は、2021年12月~2022年3月に睡眠関連項目を含む健康とライフスタイルに関するアンケートに回答した日本人一般集団7,873例。不眠症状の定義は、アテネ不眠尺度(AIS)スコア6以上とした。不眠症状と独立して関連する因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・不眠症状が認められた割合は、23.4%であった。
・不眠症状と関連する因子は、高齢、女性、現在の収入では生活が非常に困難な状況、痛み/不快感、不安、幸福感の欠如、頻繁な夜間頻尿、入浴から就寝までの長さ、寝室の照度、歩行時間の短さであった。
・サブグループ解析で強い関連が認められた因子は、男性の歩行時間、女性の高BMI、高齢者の入浴から就寝までの時間、毎日の歩行時間であった。
著者らは「不眠症状は地域社会と共通しており、身体的、心理的、環境的要因を含む3つの異なる因子と独立して関連していた。不眠症状を改善するためには、個々の状況に合わせた適切な実践的サポートが求められる」としている。
(鷹野 敦夫)