アルコールの摂取量が血圧と強い正の相関関係を示すことが報告されているが、アルコールの種類が血圧に及ぼす影響についてのデータは十分ではなく、赤ワインは女性において血圧を低下させる可能性、ビールは血管内皮機能に有益な効果を有する可能性が指摘されている。デンマーク・University of Southern DenmarkのGorm Boje Jensen氏らによる10万人以上を対象とした大規模研究の結果、アルコール摂取量は用量依存的に血圧の上昇と関連しており、その影響はアルコールの種類によらず同様であった。The American Journal of Medicine誌オンライン版2024年5月14日号の報告より。
アルコールの種類と摂取量はアンケートにより収集された。参加者は赤ワイン、白ワイン、ビール、スピリッツ、デザートワインの週当たりの摂取量を報告。アルコールの週当たりの総摂取量に応じ、7群に層別化された(0/1~2/3~7/8~14/15~21/22~34/35杯以上、1杯のアルコール量は約12gとして評価)。血圧はデジタル自動血圧計で測定され、週当たりのアルコール摂取量と血圧の関係の評価には、多変量線形回帰モデルを使用。年齢・性別により層別化され、関連する交絡因子が調整された。各アルコールの種類別の評価については、他の種類のアルコールについて調整済みのモデルで解析された。
主な結果は以下のとおり。
・Copenhagen General Population Studyから、2003年11月25日~2015年4月28日に20〜100歳の10万4,467人が登録された。
・8.0%(8,402人) がまったくアルコールを飲まなかったのに対し、2.6%(2,767人)が週に35杯以上のアルコールを摂取していた。
・73.7%(7万6,943人)が週に2種類以上のアルコールを摂取していたのに対し、12.6%(1万2,093人)は赤ワインのみ、4.5%(4,288人)はビールのみ、1.9%(1,815人)は白ワインのみ、1.0%(926人)はスピリッツとデザートワインのみを摂取していた。
・週当たりのアルコール総摂取量と収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の間には用量反応関係が認められた(p<0.001)。
・アルコール摂取量が多いグループ(週 35 杯以上)と少ないグループ(週1~2杯)の間で、SBPは11mmHg、DBPは7mmHgの差(crude difference)が確認された。
・アルコールの種類がSBPとDBPに与える影響についてみると、系統的な差異は確認されなかった。赤ワイン、白ワイン、ビールの週当たり1杯の摂取により、SBPは0.15~0.17 mmHg、DBPは0.08~0.15 mmHg高くなった。
・年齢と性別で層別化した結果、女性と60歳未満では影響がわずかに大きかった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)