CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は、転移を有するHR+/HER2-乳がんに対する1次治療として推奨されているが、HER2低発現とHER2ゼロのそれぞれに対する効果は不明である。今回、米国・Duke University School of MedicineのHuiyue Li氏らが、PALOMA-2試験とPALOMA-3試験の2次解析で、HR+でHER2低発現またはHER2ゼロの転移乳がんにおけるCDK4/6阻害薬と内分泌療法併用の有効性を評価したところ、HER2低発現患者で無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が認められた。一方、HER2ゼロ患者では、前治療の内分泌療法で進行した患者では有意なPFS改善が認められたが、1次治療では有意ではなかった。eBioMedicine誌2024年6月10日号に掲載。
本解析の対象は、2013年2月から2014年8月までにPALOMA-2またはPALOMA-3試験に登録されたIHCおよび/またはISHの結果が入手可能な17ヵ国のHR+/HER2-乳がんの女性1,186例で、HER2低発現はIHC 1+またはIHC 2+かつISH陰性、HER2ゼロはIHC 0とした。PALOMA-2試験は、HR+転移乳がんの1次治療におけるパルボシクリブ+レトロゾール群とプラセボ+レトロゾール群の二重盲検無作為化比較試験、PALOMA-3試験は、内分泌療法で進行/再発した患者におけるパルボシクリブ+フルベストラント群とプラセボ+フルベストラント群の二重盲検無作為化比較試験である。主要評価項目は、治験責任医師評価によるPFSであった。Kaplan-Meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて、HER2ゼロおよび低発現患者における治療とPFSとの関連を推定した。
主な結果は以下のとおり。
■PALOMA-2試験(HR+転移乳がんの1次治療)
・666例中、HER2ゼロは153例、HER2低発現は513例であった。
・HER2ゼロ集団では、パルボシクリブ+レトロゾール群とプラセボ+レトロゾール群でPFSに有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.48~1.30、p=0.34)。
・HER2低発現集団では、パルボシクリブ+レトロゾール群でPFSが有意に改善した(ハザード比:0.52、95%CI:0.41~0.66、p<0.0001)。
■PALOMA-3試験(内分泌療法で進行/再発した患者)
・520例中、HER2ゼロは153例、HER2低発現は367例であった。
・HER2ゼロ集団(HR:0.54、95%CI:0.30~0.95、p=0.034)およびHER2低発現集団(HR:0.39、95%CI:0.28~0.54、p<0.0001)とも、パルボシクリブ+フルベストラント群がプラセボ+フルベストラント群に対して有意にPFSを改善した。
(ケアネット 金沢 浩子)