切除不能なEGFR変異陽性StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)における化学放射線療法(CRT)後オシメルチニブを評価する第III相LAURA試験の安全性解析が、世界肺がん学会(WCLC2024)で神奈川県立がんセンターの加藤 晃史氏から報告された。
・対象:切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者(CRT後に病勢進行なし)216例
・試験群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回)を病勢進行または許容できない毒性、中止基準への合致のいずれかが認められるまで 143例
・対照群(プラセボ群):プラセボ 73例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・曝露期間中央値はオシメルチニブ群24.0ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月と両群で差があった。
・全Gradeの有害事象(AE)発現はオシメルチニブ群98%、プラセボ群88%であった。
・頻度の高いAEは放射線肺臓炎(CRT治療患者)、下痢および皮疹(オシメルチニブ治療患者)であった。
・Grade≧3のAE発現はオシメルチニブ群は35%、プラセボ群は12%だったが、曝露期間で調整するとオシメルチニブ群17.7/100人・年、プラセボ群12.6/100人・年であった。
・放射線肺臓炎の発現はオシメルチニブ群48%、プラセボ群38%であった。Grade≧3の発現はそれぞれ2%と0%で、ほとんどがGrade≦2であった。また、オシメルチニブ群、プラセボ群とも96%がアジア人であった。
・同試験の毒性管理ガイドラインに準じた放射線肺臓炎による投与中止はオシメルチニブ群10%、プラセボ群7%であった。
・間質性肺疾患(ILD)の発現はオシメルチニブ群8%、プラセボ群1%であった。
これらの結果から、加藤氏は根治的CRT後のオシメルチニブ療法を切除不能なStageIIIのEGFR変異NSCLCに対する新たなスタンダードとして支持するものだとしている。
(ケアネット 細田 雅之)