現在、体重変化と心血管疾患(CVD)リスクの関連性についての研究が進んでいるが、肥満とCVDとの関連を報告した報告は乏しい。そこで今回、英国・アングリア・ラスキン大学のJufen Zhang氏らは、CVDを併存する肥満者の大幅な体重増加がCVDによる死亡および全死亡リスクを高めることを明らかにした。
今回、UKバイオバンクのデータベースを用いた大規模な人口ベースの前向きコホート研究が行われ、ベースラインと追跡調査時の体重測定間の絶対間隔変化スコアを計算した。主要評価項目は体重変化とCVD死亡、脳血管疾患、虚血性心疾患、全死亡の関連で、Cox回帰分析より推定ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・研究対象者8,297例のうち、43.1%は女性であった。
・平均年齢±SDは56.6±7.2歳だった。
・追跡期間の中央値は13.9年(IQR:13.1~14.6)年だった。
・参加者の52.7%は安定した体重変化(体重減少または増加が5kg未満)、14.2%は大幅な体重減少(10kg以上)、5.1%は大幅な体重増加(10kg以上)がみられた。
・体重が安定していた群と比較して、大幅な体重増加がみられた群のみがCVD死亡および全死亡のリスク増加と関連し、完全調整HRはCVD死亡で3.05(95%CI:1.40~6.67)、全死亡で1.93(同:1.15~3.26)であった。
研究者らは、体重減少または体重増加と死亡率の関連性の正確なメカニズムを理解するには、さらなる研究が必要としている。
(ケアネット 土井 舞子)