中国・天津大学のQingling Hao氏らは、慢性期統合失調症患者の初回入院年齢に影響を及ぼす因子、とくに臨床的特徴および血清パラメータに焦点を当て、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2025年1月21日号の報告。
対象は、中国の精神科病院17施設より募集した慢性期統合失調症患者1,271例。初回入院年齢を含む人口統計学的データおよび臨床データを収集した。精神症状、未治療期間、各血清パラメータの評価を行った。これらの因子と初回入院年齢との関連を調査するため、統計分析を行った。
主な内容は以下のとおり。
・初回入院年齢の平均は、28.07±9.993歳。
・独身および精神疾患の家族歴を有する患者では、入院時の年齢がより若年であった。
・自殺念慮および自殺行動のある患者では、そうでない患者と比較し、入院年齢がより若年であった。
・回帰分析では、早期入院年齢の重要なリスク因子として婚姻状況(独身)、精神疾患の家族歴、自殺念慮または自殺行動が特定された。
・一方、未治療期間、総タンパク質、LDL値は初回入院年齢と正の相関が認められ、抗精神病薬の投与量およびアルブミン値は負の相関が認められた。
著者らは「本調査により、慢性期統合失調症患者の初回入院と関連する重要な因子が特定された」とし「統合失調症患者の治療アウトカムを改善するためにも、高リスク患者に対する早期介入および適切なサポートの重要性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)