統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/12/20

 

 統合失調症に対する抗精神病薬の短期的な治療は、有益であることが証明されている。しかし、抗精神病薬の長期的な治療に関しては議論の余地が残っており、自然主義的な研究は不十分である。デンマーク・Mental Health Center CopenhagenのHelene Gjervig Hansen氏らは、初回エピソード統合失調症患者における20年後の抗精神病薬使用状況の変化を調査するため、本研究を実施した。Psychological Medicine誌オンライン版2024年11月18日号の報告。

 本研究は、初回エピソード統合失調症患者496例を含むデンマークOPUS試験(1998~2000年)の一部である。対象患者には、20年にわたり4回の再評価を行った。主要アウトカムは、投薬日数、クロザピン使用歴、精神科入院、雇用とした。

 主な結果は以下のとおり。

・20年間のフォローアップ期間中に、71%の患者が脱落した。
・フォローアップが継続可能であった143例のうち、20年目に抗精神病薬を必要としない精神症状寛解が51例(36%)で認められた。
・これらの患者群では、20年間の投薬日数が最も少なかった(平均:339±538日)。
・使用された抗精神病薬に関する登録ベース分析では、416例のデータが入手可能であった。
・20年間のフォローアップ調査において抗精神病薬治療を継続していた患者120例は、抗精神病薬を中止した患者296例よりも、治療日数の長さ(平均日数:5,405±1,857日vs. 1,434±1,819日、p=0.00)、クロザピン使用歴を有する(25% vs.7.8%、p=0.00)において、有意な差が認められた。
・さらに、治療を中止した患者は、20年間フォローアップ期間中の就業率が有意に高かった(28.4% vs.12.5%、p=0.00)

 著者らは「脱落率が高いため、本研究結果は過大評価されている可能性がある」としながらも「初回エピソード統合失調症患者の36%において、抗精神病薬治療を中止した精神症状寛解を達成していた。また、脱落のない登録ベース分析では、70%の患者が抗精神病薬を中止していた。抗精神病薬治療を継続している患者は、アウトカムが最も不良であり、より重度であることが示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)