名古屋大学のTakumi Ebina氏らは、さまざまな第2世代抗精神病薬(SGA)のジストニアリスクを比較し、性別による影響および発生までの期間、その結果との関連を調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2025年1月21日号の報告。
2004年4月〜2023年11月の日本における医薬品副作用データベース(JADER)のデータを分析した。クロザピンを除く経口SGAに関連する症例を抽出した。オッズ比を用いてSGAと性別との関連を評価した。ジストニア発生までの期間中央値および四分位範囲(IQR)を分析した。ジストニア発生までの期間とアウトカム(回復、改善、未回復/残存)との関連性の評価には、ROC曲線分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・経口SGAに関連するジストニアの報告は9,837件抽出された。
・ルラシドンは、他のSGA(リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピン)よりもジストニアの報告割合が有意に高かった。
・アリピプラゾールに関連するジストニアの報告割合は、パリペリドンおよびリスペリドンよりも低かったが、クエチアピンおよびオランザピンよりも高かった。
・女性は、男性よりもジストニアの報告割合が有意に高かった。
・経口SGA誘発性ジストニア症例148例における、発生までの期間中央値は125日(IQR:19.75〜453.25)。
・アウトカム別の分析では、アウトカムが良好であった患者は、不良であった患者と比較し、ジストニア発生までの期間がより短かった。
・ROC曲線分析では、アウトカムを鑑別するための閾値は91.5日、感度は71.7%、特異度は69.9%であることが示唆された。
著者らは「SGAによるジストニアのリスクは、SGA間および性別で異なる可能性があり、SGA誘発性ジストニアは、遅発的に発生するケースが多い」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)