サノフィは、イサツキシマブ(商品名:サークリサ点滴静注)について、未治療の多発性骨髄腫患者を対象としてボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(BLd)に本剤を追加する新たな併用療法(IsaBLd)の承認を2025年2月20日に取得したと発表した。今回の承認により、再発/難治性の多発性骨髄腫に加え、未治療の多発性骨髄腫に対する新たな選択肢となる。
本剤は、CD38受容体の特異的エピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤で、日本では2020年8月に発売され、現在4種類の治療レジメンで承認されている(再発又は難治性の多発性骨髄腫における、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法と、単剤療法、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法、デキサメタゾン併用療法)。
今回の承認は、ランダム化非盲検国際共同第III相試験であるIMROZ試験の結果に基づいている。本試験は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫446例(うち日本人25例)を対象に、BLd療法とBLd療法にイサツキシマブを上乗せしたIsaBLd療法を2:3の割合で割り付け、比較した。主要評価項目である無増悪生存期間の中央値はIsaBLd群では未達、BLd群では54.34ヵ月(95%信頼区間[CI]:45.207~推定不能)で、IsaBLd群で有意な延長が示された(ハザード比:0.596、98.5154%CI:0.406~0.876、p=0.0005、層別log-rank検定)。新たな安全性の懸念は認められなかった。
<適応追加後の「効能又は効果」「用法及び用量」>
●効能又は効果:多発性骨髄腫
●用法及び用量:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはイサツキシマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法又はB法の投与間隔で点滴静注する。デキサメタゾンのみとの併用投与又は単独投与の場合(再発又は難治性の場合に限る)、通常、成人にはイサツキシマブ(遺伝子組換え)として1回20mg/kgを、以下のA法の投与間隔で点滴静注する。
A法:1週間間隔、2週間間隔の順で投与する。
B法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
(ケアネット 金沢 浩子)