白斑に対するJAK阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤は、基剤クリーム(対照)よりも病変部の再色素沈着を拡大したことが示された。安全性については最も多く報告された有害事象は、塗布部におけるにきびやかゆみであった。米国・タフツ医療センターのDavid Rosmarin氏らによる、2件の第III相二重盲検溶媒対照無作為化試験の結果で、同剤については白斑成人患者を対象に行った第II相試験で、再色素沈着をもたらしたことが報告されていた。著者は今回の結果を踏まえて、「有効性および安全性について、より大規模かつ長期の試験を行い確認することが必要である」とまとめている。NEJM誌2022年10月20日号掲載の報告。
2件の無作為化試験TRuE-V 1とTRuE-V 2で評価
2試験は、Topical Ruxolitinib Evaluation in Vitiligo Study 1(TRuE-V 1)と2(TRuE-V 2)で、北米および欧州で、12歳以上、総体表面積の10%以下に色素脱失を有する非分節型白斑患者を対象に行われた。
患者を2対1の割合で、ルキソリチニブ1.5%クリーム群または対照群に無作為に割り付け、顔面および体幹のすべての白斑病変部に1日2回、24週間塗布した。その後は、全患者について52週までルキソリチニブ1.5%クリーム塗布を可能とした。
主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点の顔面Vitiligo Area Scoring Index(F-VASI、範囲:0~3、高スコアほど顔面の白斑面積が大きいことを示す)の低下(改善)が75%以上(F-VASI75)とした。主な副次エンドポイントは5つで、Vitiligo Noticeability Scale(VNS)の改善などが含まれた。
24週時点のF-VASI75達成患者割合、対照との相対リスクは2.7~4.0
TRuE-V 1は2019年9月20日~2021年10月21日(北米29施設と欧州16施設で330例登録)、TRuE-V 2は2019年10月3日~2021年10月1日に行われ(同32施設と17施設で344例登録)、合計674例が登録された。TRuE-V 1で無作為化を受け有効性・安全性の解析に包含されたのは330例、TRuE-V 2では有効性解析には331例が、安全性解析には343例が包含された。
24週時のF-VASI75達成患者割合は、TRuE-V 1ではルキソリチニブクリーム群29.8%、対照群7.4%であった(相対リスク:4.0、95%信頼区間[CI]:1.9~8.4、p<0.001)。TRuE-V 2ではそれぞれ30.9%、11.4%であった(2.7、1.5~4.9、p<0.001)。
副次エンドポイントの結果も、ルキソリチニブクリームが対照よりも優れることを示すものであった。
52週間ルキソリチニブクリームを塗布された患者において、有害事象の発生は、TRuE-V 1で54.8%、TRuE-V 2で62.3%。最も頻繁に報告された有害事象は、塗布部のにきび(TRuE-V 1で6.3%、TRuE-V 2で6.6%)、鼻咽頭炎(5.4%、6.1%)、塗布部のかゆみ(5.4%、5.3%)であった。
(ケアネット)