子どもの場合、体重が平均を少し上回ったくらいでも高血圧のリスクが上昇する可能性が、米国から報告された。論文の筆頭著者である、米カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院のCorinna Koebnick氏は、「小児期の高血圧は成人期に引き継がれることがあり、心臓や血管にダメージを起こし得る。それによって生じた臓器障害は元の状態に戻すことが難しいため、子どもの高血圧の予防が非常に重要だ」と話している。この研究の詳細は「JAMA Network Open」に3月14日掲載された。
成人と同じように子どもでも、肥満が高血圧のリスク因子であることは明らかになっている。ただし、肥満には該当しない程度の体重増加も子どもの高血圧リスクとなるのかという点は、よく分かっていない。Koebnick氏らはこの点について、カイザーパーマネンテ南カリフォルニアの電子カルテ情報を用いた後方視的コホート研究を実施した。
解析対象は、2008年1月~2015年2月に受療行動が記録されていた3~17歳、80万1,019人(平均年齢9.4±4.6歳、女性51.1%)。4.47±1.20年(357万9,994人年)の追跡で、2万4,969人が高血圧を発症。BMIが40~59パーセンタイルという平均的な体重の群を基準として、年齢、性別、人種/民族、社会経済的地位などを調整後、BMIが60~84パーセンタイルの群は、高血圧発症リスクが26%有意に高いことが明らかになった〔ハザード比(aHR)1.26(95%信頼区間1.20~1.33)〕。なお、BMIが85~94パーセンタイルではaHR1.91、95~96パーセンタイルではaHR2.77、97パーセンタイル以上ではaHR4.94だった。
また、同性・同年齢の子どものBMI中央値からの乖離が1年間で1増加するごとに、高血圧発症リスクが4%増加することも分かった〔aHR1.04(同1.04~1.05)〕。この関係は、ベースラインのBMIがそれほど高くない場合により顕著だった。例えば、ベースラインのBMIが97パーセンタイル以上では、1年間でBMI中央値からの乖離が1増えた場合、4%のリスク上昇であるのに対して、ベースラインのBMIが40~84パーセンタイルの場合は8%のリスク上昇が認められた。
カイザーパーマネンテの研究者で論文の上席著者であるPoornima Kunani氏は、「われわれの研究は、成長期の子どもの体重が肥満に該当しないレベルであっても、健康リスクを考慮してどのような介入を行うべきかを、医療の専門家が検討する必要のあることを示している。体重増加は小児期の高血圧の最も重要な危険因子と考えられる」と述べている。
またKunani氏は子どもたちの保護者に対して、「自分の子どもが、高血圧やそのほかの体重増加に関連する、予防可能な疾患のリスクにさらされていないか、小児科医に相談してみるのもよいのではないか。子どもたちが成人に至る過程で、健康維持に役立つ習慣を身に付けるにはどうすればよいのかといった対策を立てるのにも役立つだろう」とアドバイスしている。
[2023年3月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら