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高い身体活動レベルは慢性疼痛の軽減に役立つ?

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/06/27

 

 余暇の時間に行う身体活動(physical activity;PA)が慢性疼痛を軽減する上で有効な可能性を示した研究結果が、ノルウェーの研究グループにより報告された。身体的に活発な人では、座りがちな人よりも痛みに対する耐性(以下、疼痛耐性)が高く、また、PAレベルが高い人ほど、疼痛耐性レベルも高いことが明らかになったという。北ノルウェー大学病院(ノルウェー)のAnders Arnes氏らによるこの研究の詳細は、「PLOS ONE」に5月24日掲載された。

 Arnes氏らは、ノルウェーで定期的に実施されている大規模な人口調査(トロムソ研究)のデータを用いて、余暇の時間に行う習慣的なPAレベルの経時的な変化が疼痛耐性に影響を及ぼすのか、また、疼痛耐性の経時的な変化がPAレベルにより異なるのかを検討した。用いたデータは第6次調査(2007〜2008年、ベースライン)と第7次調査(2015〜2016年)のもので、成人1万732人(女性51%)が参加していた。余暇に行うPAレベルは、調査参加者の報告に基づき「座りがち」「軽度」「中強度」「高強度」の4群に分類した。また疼痛耐性については、冷水の中に手を浸水させていられる時間を測定するコールドプレッサーテスト(CPT)で評価した。

 その結果、2回の調査を通じて活動的だった人では、いずれの調査時も「座りがち」であった人に比べて、疼痛耐性が有意に向上することが示された。最も著しい向上が認められたのは2回の調査を通じてPAレベルが「中強度から高強度」であった人で、これらの人は、いずれの調査時も「座りがち」であった人よりも20.4秒長く冷水の中に手を浸していられるものと推定された。また、ベースラインよりも2回目の調査時にPAレベルが上昇していた人でも、疼痛耐性が向上する傾向が認められた。

 2回の調査間で、対象者が冷水の中に手を浸していられる時間は平均54.7秒短縮していた。解析の結果、疼痛耐性の総体的なレベルはベースラインのPAレベルと有意な正の相関を示すことが明らかになった。ベースラインのPAレベルが「高強度」だった人が冷水の中に手を浸していられる時間は、「座りがち」だった人よりも16.3秒長いと推定された。ただし、PAレベルと2回の調査時期との間に統計学的に有意な交互作用は確認されず、疼痛耐性の経時的な変化がベースライン時のPAレベルにより異なるわけではないことが示唆された。

 研究グループは、「これらの結果は、高いPAレベルの維持やPAレベルを高めることが疼痛耐性の向上につながり得ることを示唆するものだ」との見方を示す。そして、このことを踏まえ、「PAレベルを高めることは、慢性疼痛を和らげたり、食い止めたりするための戦略となる可能性がある」と述べている。

 一方、Arnes氏も、「徐々にPAレベルを高めるか、高いPAレベルを維持することで、疼痛に対する耐性を高められる可能性がある。何よりも重要なのは、何であれ何かをすることだ」と強調している。

 研究グループは、「PAレベルと疼痛耐性が本当に因果関係にあるのかどうかは、今後の研究で解明されていくだろう」と述べている。

[2023年5月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら