がんの既往はCVD発症リスク上昇と関連

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/08/22

 

 がんの既往は、心血管疾患(CVD)の新規発症リスクの上昇と関連しているとの研究結果が、「Heart」に4月18日掲載された。

 英ロンドン大学クイーン・メアリー校ウィリアム・ハーベイ研究所のZahra Raisi-Estabragh氏らは、医療記録連携を利用してがんとCVDの診断を確認し、がんの既往のあるUKバイオバンク登録者を対象にCVDの発症と転帰を検討した。がん(乳房、肺、前立腺、大腸、子宮、血液)の既往がある対象者と、がんの既往がない対照者とを、傾向スコアにより血管リスク因子に関してマッチさせた。がんの既往がある対象者1万8,714人のデータが解析に組み入れられ、そのうち1,354人では心血管MRI検査が施行されていた。

 解析の結果、がんの既往を有する対象者では、血管リスク因子とCVDによる疾病負荷が大きかった。血液がんは、検討した全てのCVDの発症リスク上昇に関連していた〔部分分布ハザード比(SHR)1.92~3.56〕。さらに、心室容積の増大、駆出率の低下、左室ストレイン低下のリスク上昇にも関連していた。乳がんは、検討したCVDのうち非虚血性心筋症(NICM)、心不全、心膜炎、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク上昇に関連していた(SHR 1.34~2.03)。さらに、心不全またはNICMによる死亡、高血圧性疾患による死亡、駆出率の低下、左室全体機能指数の低下のリスク上昇にも関連していた。肺がんは、心膜炎、心不全、CVDによる死亡のリスク上昇に関連していた。前立腺がんは、VTEのリスク上昇に関連していた。

 著者らは「今回の結果は、心血管リスク層別化においてがん特異的曝露を考慮し、この患者集団における修正可能なリスク因子の治療閾値を下げることを支持するものである」と述べている。

 なお、1人の著者がCardiovascular Imaging社のコンサルタントを行っていることを開示している。

[2023年4月19日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら