毎日の運動でも週末だけの運動でも心臓への影響は同じ

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/08/24

 

 毎日運動するのも週末にまとめて運動するのも、心臓への影響は変わらないようだ。米マサチューセッツ総合病院(MGH)のShaan Khurshid氏らが実施した研究で、「中強度〜高強度の運動(moderate to vigorous physical activity;MVPA)を週150分以上」というガイドラインの推奨を満たしていれば、どのようなスケジュールで運動を行っても、心臓に同様のベネフィットがもたらされることが明らかになった。この研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」7月18日号に掲載された。

 この研究では、UKバイオバンクのデータを用いて、ガイドラインで推奨されている運動量を短期間で集中的に行う場合と、より均等に(定期的に)行う場合とで、心血管イベント(心房細動、心筋梗塞、心不全、脳卒中)の発生リスクに違いがあるのかどうかが調査された。対象は、2013年6月8日から2015年12月30日までの間に加速度計で測定した1週間の運動量のデータがそろっていた8万9,573人(平均年齢62歳、女性56%)。このうちの42.2%(3万7,872人)は週150分以上のMVPAの50%以上を1〜2日で消化する「週末戦士(weekend warrior;WW)」(WW群)、24.0%(2万1,473人)はWWよりも定期的な運動習慣で推奨運動量を満たしていた(定期的な運動群)。残りの33.7%(3万228人)はガイドラインでの推奨運動量を満たしていなかった(推奨量未達成群)。追跡期間中央値は6.3年だった。

 解析の結果、WW群と定期的な運動群の双方で心血管イベントの発生リスクは同程度に低下することが明らかになった。推奨量未達成群に比べてWW群と定期的な運動群では、心房細動リスクがそれぞれ22%と19%、心筋梗塞リスクが27%と35%、心不全リスクが38%と36%、脳卒中リスクが21%と17%低下していた。

 Khurshid氏は、「これらの結果は、心血管系の健康にとって最も重要なのは、運動パターンよりもむしろ運動量であることを示唆している。運動量を増やす努力が週の中で均等に行われていても1〜2日に集中していても、いくつかの心血管疾患リスクや全体的な心血管系の健康に及ぼす影響は同等だ」と話す。その上で同氏は、「週に1、2回しか運動できないのであればしない方がいい、あるいは、運動による効果は期待できないと考えている人にとって、この知見は励みになるのではないか」と述べている。

 米ペニントン生物医学研究センターの人口・公衆衛生科学部門アソシエイト・エグゼクティブ・ディレクターのPeter Katzmarzyk氏は、「この研究結果は、運動を自分の都合に合わせて柔軟に取り入れることで、健康への効果が得られることを強調するものだ」と述べる。そして、「一般的に、どんな運動でも、何もしないよりは良い」と強調している。

 Katzmarzyk氏は、週150分以上の運動という目標を達成できない場合でも、医師は患者と協力して、患者の年齢や健康状態に適した運動目標を立てるべきだと話す。同氏は、「目標値以下でも、運動量の増加は心血管疾患や早期死亡のリスクの減少を含め、健康に多くのベネフィットをもたらす」と述べている。

[2023年7月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら