慢性呼吸器疾患(CRD)は、2019年の全世界における死因の第3位で、死亡者数は400万人に上った、とする研究結果が「eClinicalMedicine」5月号に掲載された。
内分泌・代謝人口科学研究所(イラン)のSara Momtazmanesh氏らによる慢性呼吸器疾患の国際共同研究グループは、204カ国・地域における、1990年から2019年までのCRDの死亡者数、有障害年数、損失余命年数、障害調整生存年数(DALY)、有病者数、新規発症者数を、性別、年齢、地域、社会人口統計学的指標で分けて推定した。CRDは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、じん肺、間質性肺炎、サルコイドーシス、その他と定義した。
解析の結果、CRDは2019年の全世界における死因の第3位で、死亡者数は400万人、有病者数は4億5460万人であった。1990年から2019年にかけて、CRDの総死亡者数と有病者数はそれぞれ28.5%、39.8%増加したが、年齢調整後の総死亡者数と有病者数はそれぞれ41.7%、16.9%減少した。CRDによる死亡の主要原因はCOPDで、有病者数は2億1230万人、死亡者数は330万人であった。CRDの中で最も有病者数が多かったのは喘息で、2億6240万人であった。1990年から2019年にかけて、COPD、喘息、じん肺の年齢調整後の負荷指標は世界的に減少したが、同期間に間質性肺炎とサルコイドーシスの年齢調整後の新規発症者数と有病者数は上昇した。CRDによる死亡とDALYに最も寄与した要因は喫煙であり、次いで大気汚染と職業的リスクであった。
著者らは「CRDによる疾病負荷を軽減するためには、タバコ規制対策と大気の質改善戦略を世界的に完全に遵守することが重要である。社会人口統計学的指標が低度または低中度の国での死亡者数やDALYの高さは、予防、診断、治療の改善策の緊急的必要性を強調している」と述べている。
なお複数人の著者が、バイオ医薬品業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[2023年5月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら