腰痛がようやく治ったという人は、再発防止のためにウォーキングをすると良いようだ。オーストラリアの新たな研究で、ウォーキングを始めた人は、ウォーキングをしない人に比べて腰痛が再発するまでの期間がはるかに長かったことが示された。マッコーリー大学(オーストラリア)理学療法学教授のMark Hancock氏らによるこの研究結果は、「The Lancet」に6月19日掲載された。
本研究の背景情報によると、腰痛に悩まされている人は全世界で8億人以上に上る。腰痛患者の10人中7人は腰の痛みが和らぐものの、後に再発を経験する。本研究では、最近、特定の疾患を原因としない、24時間以上続く腰痛を経験している18歳以上の成人701人(平均年齢54歳、女性81%)を対象にランダム化比較試験を実施し、6カ月間にわたる個別化された段階的なウォーキングプログラムと理学療法士による教育セッションから成る介入が腰痛の再発予防に有効であるかどうかが検討された。対象者は、351人が介入群、350人が介入を提供されない対照群に割り付けられ、12カ月以上(最長36カ月間)追跡された。
その結果、介入群での腰痛再発までの期間中央値は208日であり、対照群での112日を大きく上回ることが明らかになった。
Hancock氏は、「なぜウォーキングが腰痛予防に効果的なのか、正確な理由は不明だ。おそらくは、全身にもたらされる緩やかな振動、脊椎構造と筋肉への負荷とそれらの強化、リラクゼーションとストレス解消効果、幸せホルモンのエンドルフィンの放出など、さまざまな要因の組み合わせが効果的に作用しているのだろう」と述べている。同氏はまた、マッコーリー大学のニュースリリースの中で、「ウォーキングは低コストで、地理的な場所や年齢、社会経済的な状況に関係なくほぼ全ての人が広く取り組める簡単な運動だ」と述べている。
論文の筆頭著者である同大学のNatasha Pocovi氏は、「これまで検討されてきた腰痛予防のための運動ベースの介入は、概してグループベースで行われる上に、綿密な臨床監督と高価な器具を必要とするため、大多数の患者には利用しにくいものだった」と説明する。それに対し、ウォーキングはシンプルな上に必要コストも低い。またHancock氏は、「その上、ウォーキングには、心血管の健康、骨密度、健康的な体重、メンタルヘルスの改善など、多くの健康上の利点があることも分かっている」と付け加えている。
[2024年6月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら