GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は慢性腎臓病(CKD)進行抑制という点で、DPP-4阻害薬(DPP-4i)より優れていることを示唆するデータが報告された。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのShuyao Zhang氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に12月5日掲載され、2月10日には同大学からニュースリリースが発行された。Zhang氏は、「血糖管理におけるGLP-1RAの有用性は既によく知られていた。一方、われわれの研究によって新たに、CKDハイリスク患者におけるGLP-1RAの腎保護効果を裏付ける、待望のエビデンスが得られた」と述べている。
この研究は、米退役軍人保健局の医療データを用い、臨床試験を模倣した研究として実施された。腎機能低下が中等度(eGFR45mL/分/1.73m2未満)以上に進行したCKDを有する35歳以上の2型糖尿病患者のうち、GLP-1RAまたはDPP-4iで治療されていた9万1,132人から、傾向スコアマッチングにより背景因子の一致する各群1万6,076人から成る2群を設定。この2群はベースライン時点で、平均年齢(GLP-1RA群71.9歳、DPP-4i群71.8歳)、男性の割合(両群とも95%)、BMI(同33.5)、HbA1c(8.0%)、および併発症や治療薬なども含めて、背景因子がよく一致していた。
事前に設定されていた主要評価項目は急性期医療(救急外来の受診・入院など)の利用率であり、副次評価項目は全死亡および心血管イベントの発生率だった。このほか、事後解析として、CKD進行リスク(血清クレアチニンの倍化、CKDステージ5への進行で構成される複合アウトカム)も評価した。
2.2±1.9年の追跡で、1人1年当たりの急性期医療利用率は、GLP-1RA群が1.52±4.8%、DPP-4i群は1.67±4.4%で、前者の方が有意に低かった(P=0.004)。また、全死亡は同順に17.7%、20.5%に発生していて、やはりGLP-1RA群の方が少なかった(オッズ比〔OR〕0.84〔95%信頼区間0.79~0.89〕、P<0.001)。CKD進行についても2.23%、3.46%で、GLP-1RA群の方が少なかった(OR0.64〔同0.56~0.73〕、P<0.001)。心血管イベントに関しては有意差がなかった(OR0.98〔0.92~1.06〕、P=0.66)。
著者らは、本研究結果が糖尿病の臨床を変化させるのではないかと考えている。論文の共著者の1人である同医療センターのIldiko Lingvay氏は、「糖尿病でCKDを有する患者は、低血糖、感染症、心血管疾患などの合併症のリスクが非常に高いにもかかわらず、有効な薬剤が非常に少なく、かつ、そのような患者は臨床試験に参加する機会が限られている。われわれの研究結果は、GLP-1RAがCKDの進行の抑制や医療費の削減につながることを示している」と話す。
Zhang氏もLingvay氏と同様に、今回の研究結果が糖尿病臨床を変え得るとしている。同氏は、「歴史的に見て、糖尿病によるCKDの治療は困難なものであった」と解説。そして、「今後の研究次第では、糖尿病に伴うCKDの包括的治療アプローチの一部として、GLP-1RAを組み込んだ新しいガイドラインが策定される可能性がある。そのガイドラインに基づく治療によって、患者の長期的な転帰が改善し、生活の質の向上につながっていくのではないか」と付け加えている。
[2025年2月11日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら