安定狭心症患者へのPCI前と退院時の至適薬物治療実施率、COURAGE試験発表後も微増にとどまる

提供元:ケアネット

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公開日:2011/05/24

 



COURAGE試験では、安定狭心症患者に対する、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施前の至適薬物治療(OMT)の妥当性を示したが、同試験発表前後のPCI前・退院時のOMT実施率を比べた結果、微増にとどまっていたことが明らかになった。米国・コーネル大学Weill Cornell医学校のWilliam B. Borden氏らが、47万人弱の安定冠動脈疾患患者を対象に行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年5月11日号で発表した。

被験者全体のPCI前OMT実施率は44.2%、退院時実施率は65.0%




同研究グループは、2005年9月から2009年6月にかけて、PCIを実施した安定冠動脈疾患患者、46万7,211人について観察研究を行った。主要評価項目は、COURAGE(Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation)試験発表前後の、PCI前と退院時のOMT実施率だった。

なおCOURAGE試験は、安定冠動脈疾患患者を対象に、OMTのみと、OMTとPCIの併用について、その臨床アウトカムを比較した無作為化試験。同試験の結果から、生存率や心筋梗塞発症率に両群で有意差が認められず、すなわちPCI前の積極的なOMTの妥当性が示されていた。

今回のBorden氏らによる試験の結果、被験者全体でPCI前のOMT実施率は44.2%(95%信頼区間:44.1~44.4)、退院時のOMT実施率は65.0%(同:64.9~65.2)だった(p<0.001)。

PCI前OMT実施率は1.2ポイント増、退院時実施率は2.5ポイント増




COURAGE試験の前後で比較してみると、同試験発表前の被験者17万3,416人のうち、PCI前にOMTを実施していたのは7万5,381人(43.5%、同:43.2~43.7)だったのに対し、同試験発表後の被験者29万3,795人中では13万1,188人(44.7%、同:44.5~44.8)であり、1.2ポイント増だった(p<0.001)。

またPCI後の退院時OMT実施率も、COURAGE試験前63.5%(同:63.3~63.7)に対し、同試験後は66.0%(同:65.8~66.1)で、2.5ポイント増(p<0.001)と変化は微増だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)