コントロール不良の喘息患者にチオトロピウム投与で、肺機能、症状増悪リスクが改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/10

 

 吸入グルココルチコイドと長時間作用性β刺激薬(LABA)で治療を行いながらもコントロール不良の喘息患者に対し、チオトロピウム(商品名:スピリーバ)を投与することで、肺機能が改善し、症状増悪リスクが約2割減少することが、オランダ・Groningen大学医療センターのHuib A.M. Kerstjens氏らによる検討で示された。喘息患者900人超について行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年9月27日号(オンライン版2012年9月2日号)で発表した。

吸入チオトロピウムを48週間投与
研究グループは、吸入グルココルチコイドとLABAで治療中の症状のある喘息患者、合計912例について、2つの再現性無作為化比較試験(試験1、試験2)を行い、チオトロピウムの追加投与による肺機能や症状増悪に対する効果を分析した。試験は2008年10月~2011年7月に、15ヵ国で行われた。

被験者を2群に分け、一方には、ソフトミストタイプの吸入チオトロピウム(総用量5μg)を、1日1回48週間にわたって投与し、もう一方の群には同量のプラセボを投与した。

被験者の平均年齢は53歳で、女性の割合は60.4%、平均FEV1は予測値の62%だった。被験者は全員症候性で、気管支拡張薬投与後の1秒量(FEV1)は予測値の80%以下、前年に1回以上の重度増悪があった。

最大FEV1改善幅、チオトロピウム群の対プラセボ格差は86~154mL
24週間後のチオトロピウム投与3時間後の最大FEV1の平均変化量(±SE)は、チオトロピウム群がプラセボ群より大きかった。平均群間格差は、試験1では86±34mL(p=0.01)、試験2では154±32mL(p<0.001)だった。

24週間後のチオトロピウム投与前FEV1も、チオトロピウム群で有意に改善し、その平均群間格差は、試験1では88±31mL(p=0.01)、試験2では111±30mL(p<0.001)だった。

被験者の25%が初回重度増悪を発症するまでの期間は、プラセボ群が226日に対し、チオトロピウム群が282日と56日間延長した。チオトロピウム群のプラセボ群に対する初回重度増悪に関するハザード比は、0.79(95%信頼区間:0.62~1.00、p=0.03)だった。

被験者のうち、死亡した人はなく、有害事象発生率は両群で同等だった。