STAT4と関節リウマチや全身性エリテマトーデスのリスク

提供元:ケアネット

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公開日:2007/09/26

 

 関節リウマチは重要な遺伝的要因をもつ慢性炎症性疾患である。疾患に対する感受性は、染色体2q上の領域と関連付けられてきた。特に、Jakキナーゼアとともにサイトカインシグナルの伝達経路となるSTAT 分子は7種類あることがわかっており、Th1反応を起こすIL-12に反応するSTAT4 の役割の解明に注目が集まっている。

 アメリカ国立衛生研究所関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所のElaine F. Remmers氏らは、すでに関節リウマチと関連づけられている染色体2q領域中の13の候補遺伝子の内外にある一塩基多型(SNP)を調べた。NEJM誌9月6日号の報告から。

STAT4 第3イントロン(*1)のSNPハプロタイプ(*2)の関連を示唆

 研究グループは、関節リウマチと診断された北米の症例患者群1,620例と対照群2,635例についてSTAT1-STAT4 領域の微細な遺伝子マッピングを実施した。関連するSNPについては独立したケース-対照群シリーズから、スウェーデンの初期関節リウマチ患者群 1,529例と対照群881例、さらに全身性エリテマトーデス(SLE)患者については3シリーズから計患者群1,039例と対照群1,248例を登録し、調査した。

その結果、STAT4 の第3イントロンにおけるSNPハプロタイプが、関節リウマチとSLE両方の感受性と関連していることがわかった。ハプロタイプを定義しているSNPのマイナー対立遺伝子は、診断が確定した関節リウマチ患者群の染色体の27%に存在する一方、対照群では22%であった(関連が最も強く示されたIDナンバー SNP rs7574865についてP= 2.81×10(-7)、対照群に対して患者群が染色体にリスク対立遺伝子を持つオッズ比1.32)。この関連はスウェーデンの最近の初発関節リウマチ患者で繰り返され(P = 0.02)、対照群とも合致した。

STAT4 は関節リウマチ・SLE双方に共通の伝達経路

 rs7574865 でマークされたハプロタイプはSLEの主症状である狼瘡と強い関連があり、症例患者群31%の染色体上に存在し、対照群では22%だった(P=1.87× 10(-9)、対照群と比較して患者の染色体にリスク対立遺伝子が存在するオッズ比1.55)。リスク対立遺伝子のホモ接合性は、対立遺伝子の欠如と比較して、狼瘡では2倍のリスクと、関節リウマチでは60%のリスク増加と関連していた。

これらの結果から研究グループは、STAT4 のハプロタイプは関節リウマチとSLEの両方のリスク増加と関連しており、これらの疾患には共通の経路があることが示唆されたとしている。

*1 遺伝子中でタンパク質を作るための情報をもたない部分

*2 同一染色体上で、遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型:SNPなど)の組み合わせ

(朝田哲明:医療ライター)