中国での鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトへの感染について、家禽市場の閉鎖によって大きな抑制効果が上がることを、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが報告した。感染者データを基に分析を行い明らかにしたもので、著者は「生きた家禽やヒトへのH7N9の感染が認められた場合には、ただちに家禽市場を閉鎖すべきである」と報告をまとめている。上海では2013年3月31日に、H7N9の最初の確定感染者が報告され、4月に家禽市場を閉鎖していた。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。
統計モデルにより、ヒトへの伝播経路パターンを分析
Hongjie Yu氏らは、CDCのデータベースから、中国の上海、杭州、湖州、南京の4都市で、今年6月7日までに発生し、検査で確定したH7N9感染者について調査を行った。
統計モデルにより、ヒトへの伝播経路パターンについて分析した。具体的には、感染者の年齢、性、所在地、地域のタイプ(農村または都市部)、発症日を入手し、家禽市場の情報は公式ソースから入手し、各市で報告された発生症例パターンを調べるため、家禽市場閉鎖前および閉鎖後のそれぞれの想定感染力に基づき統計モデルを作成した。
家禽市場閉鎖により感染者数は97~99%減少
4都市で報告されたH7N9への感染者は85例であり、そのうち60例について分析を行った。その結果、家禽市場閉鎖により1日当たり平均感染者数は、上海で99%減少(95%信頼区間:93~100)、杭州でも99%減少(同:92~100)した。湖州では97%減少(同:68~100)、南京でも97%減少(同:81~100)した。
H7N9の感染確認例の感染経路は、大部分が家禽市場を経由していたことから、同研究グループはH7N9の潜伏期間について、平均3.3日(同:1.4~5.7)と推定した。
研究グループは、家禽市場の閉鎖はH7N9のヒトへの感染リスク抑制に効果的であったとしたうえで、「生きた家禽やヒトへのH7N9の感染が認められた場合には、ただちに家禽市場を閉鎖すべきである」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)