肺機能障害が軽度~中等度の特発性肺線維症患者について、努力性肺活量(FVC)の維持に関してアセチルシステイン(商品名:ムコフィリンほか)は、プラセボと比べて有意なベネフィットをもたらさなかったことが、Fernando J. Martinez氏らIdiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Networkによる無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでアセチルシステインは特発性肺線維症の治療として有用であることが示唆されていたが、プラセボ対照の試験データが不足していた。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月18日号)掲載の報告より。
60週間のFVCの変化を主要アウトカムに、プラセボ群と比較
検討は二重盲検プラセボ対照試験にて、当初は肺機能障害が軽度~中等度の特発性肺線維症患者を、3剤併用治療(プレドニゾン+アザチオプリン+アセチルシステイン)群、アセチルシステイン単独治療群、プラセボ群の3群に無作為に割り付け60週間追跡するプランであった。しかし3剤併用群で安全性への懸念が生じたため試験を中断し、同群を除外して2群(アセチルシステインvs. プラセボ)で試験を続行した(その他の条件などは変更せず)。
主要アウトカムは、60週間のFVCの変化であった。
FVCの変化、および死亡率、急性増悪についても有意差なし
アセチルシステイン群には133例が、プラセボ群には131例が登録された。ベースライン時の両群の被験者特性は類似しており、平均年齢67歳、女性が22%、平均FVCは予測値の73%、一酸化炭素拡散能は予測値の45%などであった。
結果、60週時点でアセチルシステイン群とプラセボ群との間にFVCの変化について、有意な差はみられなかった(-0.18L vs.-0.19L 、p=0.77)。
また、死亡率(4.9%vs. 2.5%、log-rank検定p=0.30)、急性増悪(両群とも2.3%、p>0.99)についても有意差はみられなかった。